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心象風景 絵描きブログ

美術のこと、旅のこと、いろいろを心象風景を描くようにつづる絵描きの雑記。

坂本満著「美術史とその外側」の紹介( 12 )

2025-07-10 23:52:12 | 美術

 

この 第11章からは、坂本先生の言葉がビシビシ伝わるってくる。

「見る目」がいかに作られたものかを知らされる事例が続く。

ここまででも自分が知らず知らずのうちに身につけていた常識に気付かされてはいたが。

先生は、とんでもない数の版画を見続けて、版画の影響力に気づいたと聞く。

複製である版画は 持ち運びに有利。

それは、船に乗って、荷物に紛れて、世界中に広がっていった。

版画を見て、見知らぬ世界に妄想を膨らませた人は多いはず。

犀や象をユニークな表現で残したのも、版画の影響かもしれない。

我々が「独自」と思うものも もう一度検証する必要があると気付かされる。

 


坂本満著「美術史とその外側」の紹介( 11 )

2025-07-09 23:43:20 | 美術

第10章 建築、これは大好き分野。

ヴェルサイユ宮殿の改築に見られる「王」の意図。そこに見える「見通し線」。

確かに、大広間から見下ろした庭園の迫力は 記憶に残る。

それは自分の純粋な感覚だけではなかった。

日本の明治初期小学校の「擬洋風建築」も、興味深い経緯がある。

擬洋風建築の面白さは 坂本先生に出会うまで気づかなかった。

老朽化で取り壊されてしまうものもあるだろう。

そこに込められた地元民の教育への思いがどれほどのものだったのか。

建物をただあるがまま見て喜んでいた自分が気の毒だし、恥ずかしい。


青空と青桐

2025-07-05 23:23:34 | 美術

真夏の空を見上げると、黄色い花房のカーテン。

大きな青桐の花が最盛期。圧巻とはこのことか。

空の青、葉っぱの緑と花の黄色。

これ、どこかの国旗に似てるな。

調べると「カボン」という国が出てきた。カボン ?

今度は カボンを調べねば。コンゴとギニアに囲まれた海側の国。

ロアンゴ国立公園のある国らしい。

海の青、樹林の緑、太陽の黄色の3色が国旗になったらしい。

この3色で馴染みのある国旗だとブラジルかな。やっぱり太陽に近い国。

桐のカーテンの下で国旗の勉強、いいねぇ。


坂本満著「美術史とその外側」の紹介( 10 )

2025-06-27 23:25:47 | 美術

第九章は「だまし絵」。この初めの部分を紹介したい。

「錯視とか錯覚というと、しばしばマイナスの評価が与えられがちです。

しかし、これはおそらく脳のきわめて正常な認識行為のひとつであり、

またとても文化的で人間的な現象で・・・そもそも画像や映像の世界に

とって、錯視効果は大なり小なり不可欠の要素なのです。たとえば・・」

 

教会の天井に遠近法や明暗法を使ったものも 錯視を利用した表現で、

だまし絵と言えないことはない。

自分も絵描き、だまし絵を描いていたということか。それ、楽しい。

 


坂本満著「美術史とその外側」の紹介( 9 )

2025-06-23 23:34:13 | 美術

この本のために原稿整理をしていた時のことを思い出す。

「本」というものに対する自分の認識が極めて狭いものだと気づいたのはこの時だった。

なんとなく 平面に文字のようなものが書かれていて持ち運びできるもの と思っていた。

いきなりラスコーの洞窟壁画が出てきて驚いた。壁画は絵画の始まりとしての認識だった。

「本」の歴史は紙が出現する前からあると聞けば なるほど。

木片や羊皮紙が自分の限界だった。自分の中の「本」は壊れた。

最近、本は買わないでデータを買うという人も増えた。

伝達が「本」の目的だとすると、「本の概念」はまだまだ広がっていきそう。

「その外側」話の面白さよ。