『人間そっくり(新潮文庫)』

14時過ぎに「箱根本箱」に到着、チェックインののち、15時前ぐらいから部屋にあった本書を読み始めた。この宿の売りは、本。いたるところに書棚があって好きに読んで、気に入れば買って帰ることもできる。途中、地階にある大浴場の温泉に入りに行き、帰りにあちこちの本棚を覗いてきた30分ほどをのぞいて、19時前に読了。
本書は、SF小説に凝っていた中高生のころの大昔に読んだことがあると思うのだが、記憶にない。本書は、火星人と「自称する」男、火星の土地を分譲するという名刺を持っている。登場人物は主人公とその妻、男とその妻の四人。筋書きは輻輳しているのでリピートしないが、要はアイデンティティは儚くも簡単に崩れてしまい、自己とは何か、容易に喪失してしまう。それどころか、そうした危機にも気づかず日々を送るのが現代人であると、著者は本書を借りて喝破するのだ。
あなたは自分が誰か確信を持って語ることができますか?!

