午前中は雨は降らなかったが昼前から風が強くなり、外出を控えた。
そして久しぶりにベートーベンのバイオリン協奏曲を聴いていた。私のもっとも好きな曲である。一番のお気に入りは1962年のヨゼフ・スークのバイオリンで、フランツ・コンヴィチュニー指揮・チェコフィルの演奏であるが、本日はシェリングのバイオリンで、ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団。これは前者の10年後1973年の演奏である。私が学生時代に発売された物のCDリメーク版。
スークの演奏よりは少し乾いた感じの演奏であるが、高音がとても美しく繊細である。カデンツァは残念ながら私の好みではないが、飽きないいい演奏だと思っている。この演奏も時々聴くことにしている。
私にとってのこの曲の魅力は三つある。ひとつ目は曲の出だしのティンパニーの4つの連打とそれを受けてオーボエ・クラリネット・ファゴットの第一主題である。
私などはこの出だしを聞くだけでもう恍惚としてしまう。
このティンパニーの4つ、あるいは5つの連打ですべてが決まってしまうのだ。早すぎても明瞭過ぎてもいけない。かといって情緒に流れてしまうようなゆっくり過ぎるのもいけない。等間隔で機械的になってはもっといけない。4つ目を叩くときにはほんの少し間をあけるように、そして6本の木管楽器の音を誘導するように叩かなくてはいけない。たぶんティンパニーの方はとても緊張する難しい出だしだと思う。
5小節目の4つの音は、また最初の出だしとはニュアンスは違う。弱くやさしく、でも等間隔で叩いたほうがいい。
聞きなれてくると、この出だしの4つの音を聴いただけで指揮者と独奏者の意図がわかってしまうと、先輩が云っていたのを今でも思い出す。極論だとは思うが、それだけ印象に残るティンパニーである。
そして次に私が好きな箇所がこのすぐ後、独奏バイオリンが出てくる呈示部の初めである。スコアーは呈示部の初めから掲載しているが、私のこだわりは右下の赤丸で囲ったAis(嬰イ)音である。この音がH(ロ)音に収れんする時間が聴きどころである。四分音符という機械的な長さではいけない。少し早目に安定したH音に移行しなくてはいけないが、早すぎてはこの嬰イ音をここに持ってきた意味がない。これをたっぶりと聴かせる演奏者とそうでない演奏者がいる。この音ひとつで曲全体の出来の判断をしてしまう人もいる。それほど私は重要な音だと思う。
そして三つ目の聴きどころは、第二楽章から第三楽章に移る寸前である。非常にゆっくりした、たっぷりとバイオリンの高音の美しさを堪能した先に、たった6音の独奏バイオリンのカデンツァから、続けて独奏バイオリンが引き続き軽快なロンド形式の第一主題を奏するのだが、いかに自然に曲の雰囲気を移行させるか、独奏者の力量が問われるところだと思う。
私はこの三か所に特に着目してこの曲を聴く。何度聴いても飽きることがない。
なお、この曲はベートーベン36歳の1806年に作られた。38歳の時に交響曲第5番を作曲するなど、もっとも充実していた頃の作品として有名である。
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そして久しぶりにベートーベンのバイオリン協奏曲を聴いていた。私のもっとも好きな曲である。一番のお気に入りは1962年のヨゼフ・スークのバイオリンで、フランツ・コンヴィチュニー指揮・チェコフィルの演奏であるが、本日はシェリングのバイオリンで、ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団。これは前者の10年後1973年の演奏である。私が学生時代に発売された物のCDリメーク版。
スークの演奏よりは少し乾いた感じの演奏であるが、高音がとても美しく繊細である。カデンツァは残念ながら私の好みではないが、飽きないいい演奏だと思っている。この演奏も時々聴くことにしている。
私にとってのこの曲の魅力は三つある。ひとつ目は曲の出だしのティンパニーの4つの連打とそれを受けてオーボエ・クラリネット・ファゴットの第一主題である。
私などはこの出だしを聞くだけでもう恍惚としてしまう。
このティンパニーの4つ、あるいは5つの連打ですべてが決まってしまうのだ。早すぎても明瞭過ぎてもいけない。かといって情緒に流れてしまうようなゆっくり過ぎるのもいけない。等間隔で機械的になってはもっといけない。4つ目を叩くときにはほんの少し間をあけるように、そして6本の木管楽器の音を誘導するように叩かなくてはいけない。たぶんティンパニーの方はとても緊張する難しい出だしだと思う。
5小節目の4つの音は、また最初の出だしとはニュアンスは違う。弱くやさしく、でも等間隔で叩いたほうがいい。
聞きなれてくると、この出だしの4つの音を聴いただけで指揮者と独奏者の意図がわかってしまうと、先輩が云っていたのを今でも思い出す。極論だとは思うが、それだけ印象に残るティンパニーである。
そして次に私が好きな箇所がこのすぐ後、独奏バイオリンが出てくる呈示部の初めである。スコアーは呈示部の初めから掲載しているが、私のこだわりは右下の赤丸で囲ったAis(嬰イ)音である。この音がH(ロ)音に収れんする時間が聴きどころである。四分音符という機械的な長さではいけない。少し早目に安定したH音に移行しなくてはいけないが、早すぎてはこの嬰イ音をここに持ってきた意味がない。これをたっぶりと聴かせる演奏者とそうでない演奏者がいる。この音ひとつで曲全体の出来の判断をしてしまう人もいる。それほど私は重要な音だと思う。
そして三つ目の聴きどころは、第二楽章から第三楽章に移る寸前である。非常にゆっくりした、たっぷりとバイオリンの高音の美しさを堪能した先に、たった6音の独奏バイオリンのカデンツァから、続けて独奏バイオリンが引き続き軽快なロンド形式の第一主題を奏するのだが、いかに自然に曲の雰囲気を移行させるか、独奏者の力量が問われるところだと思う。
私はこの三か所に特に着目してこの曲を聴く。何度聴いても飽きることがない。
なお、この曲はベートーベン36歳の1806年に作られた。38歳の時に交響曲第5番を作曲するなど、もっとも充実していた頃の作品として有名である。
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