既に開花しているところもあるが、我が家の目の前のヒガンバナが台風一過とともに開花。この場所のヒガンバナはいつも秋の彼岸の前後2日くらいの間に毎年咲く。暦の彼岸とほとんど同時なのが不思議である。
群落もいいが、10本前後の小さな固まりもおおいに惹かれる。
現在は大雨・洪水注意報だけが残っているが、警報や他の注意報は解除になっている。雨も15時以降降っていない。
気温は現在は20℃を下回っているようだ。涼しいを通り越してひんやりと寒いくらいである。
★仏より痩せて哀れや曼殊沙華 夏目漱石
★曼珠沙華落暉も蘂(しべ)をひろげけり 中村草田男
★九十九里の一天曇り曼珠沙華 加藤楸邨
第3句、1945年の秋の句。「野哭」所収。句集の冒頭には「火の中に死なざりしかば野分満つ」という痛切な句。「今は亡き友に献げる」という詞書が添えてある。敗戦直後、多くの死を痛む句集である。多くの戦死者を飲み込んだ広大な太平洋を望む九十九里の海岸。「一天曇り」であるから、秋の空ながら全体が曇り空、視界に赤い曼殊沙華が強い印象で眼に止まったのだと思う。亡くなった戦争に伴う死者の彷徨のように。曼殊沙華、彼岸花は別名死人花。