本日の俳句
★ビル風も日傘は垂直真昼時
★影の濃き遊具に満つる暑熱かな
★炎帝や遊具に赤き錆匂う
昨日読んだ「みすず」8月号の「賛々語々 千人が手を」(小沢信男)に
☆千人が手を欄干や橋すゞみ(其角)
☆いざいなん江戸は涼みもむつかしき(一茶)
の句が引用されていた。前者は隅田川の花火を見るために両国橋に大群衆が欄干に手をかけて見ている様子であるとのこと。後者は江戸での36年の果てに信濃の郷里に帰った年の作とのこと。江戸での敗残の思いが込められていたかもしれないが、一茶の本領は帰郷後であることもまた事実。
私が引かれたのは、其角の句。俳句の題材や誇張表現はいかにも作者らしいようだが、それよりも語法が新鮮に感じられた。「千人が手を」が何ともいえずギクシャクとしつつ収まっている不思議な語調だ。
「橋すずみ千人が手は欄干に」ならばフラットな流れだが、千人に眼目があり、情景の焦点は人だかりに合わさる。しかし「千人が手を欄干や‥」となると欄干にかけられた手に焦点が合っているようだ。頭や顔が千そろうよりも、千人分の手が欄干にかけられている方が、不気味でもあり、人の犇めき合う姿が浮かび上がる。さすが!と声をかけたくなる。
★ビル風も日傘は垂直真昼時
★影の濃き遊具に満つる暑熱かな
★炎帝や遊具に赤き錆匂う
昨日読んだ「みすず」8月号の「賛々語々 千人が手を」(小沢信男)に
☆千人が手を欄干や橋すゞみ(其角)
☆いざいなん江戸は涼みもむつかしき(一茶)
の句が引用されていた。前者は隅田川の花火を見るために両国橋に大群衆が欄干に手をかけて見ている様子であるとのこと。後者は江戸での36年の果てに信濃の郷里に帰った年の作とのこと。江戸での敗残の思いが込められていたかもしれないが、一茶の本領は帰郷後であることもまた事実。
私が引かれたのは、其角の句。俳句の題材や誇張表現はいかにも作者らしいようだが、それよりも語法が新鮮に感じられた。「千人が手を」が何ともいえずギクシャクとしつつ収まっている不思議な語調だ。
「橋すずみ千人が手は欄干に」ならばフラットな流れだが、千人に眼目があり、情景の焦点は人だかりに合わさる。しかし「千人が手を欄干や‥」となると欄干にかけられた手に焦点が合っているようだ。頭や顔が千そろうよりも、千人分の手が欄干にかけられている方が、不気味でもあり、人の犇めき合う姿が浮かび上がる。さすが!と声をかけたくなる。