Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

長谷川等伯展感想(4)

2010年03月09日 00時21分33秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 NHKの日曜美術館で長谷川等伯を放映していた。
 私の気に入った波濤図と小さい画面の仏涅槃図、十六羅漢図等は取り上げられなかったのは残念ではあった。特に波濤図は…。しかし好みの問題だからそれはやむを得ない。
 テレビの画面では、色も線も実際より鮮明に見えた。私の視力の所為か、照明の具合か…。会場の一般用の照明と、撮影用の照明の差ではないだろうか。
 楓図の褪色はテレビ画面でもはっきりと確認できた。それでも私たちに大きな迫力を感じさせるのだから、修復を心から期待したい。右側にもっと伸びやかに画面があったはずだから、左側の空間が相対的に小さくなり、迫力を増し、大きな空間があらわれるとおもう。何よりもバランスがよくなる。楓の古木が全体に占める割合が大きくなるはずだ。そして左の楓の葉が少ない部分が小さくなるが、川と思われる濃い青の三日月形の部分があるために釣り合いが取れるはずだ。
 NHKの解説ではそこにも言及して欲しかった。松林図も同じだ。等伯は、というか安土・桃山の芸術というのは、実に大柄でかつ繊細なものであったと、今回認識を新たにした。色彩だけでなく構図上のバランスからも、現代の視点で見ても理にかなったものではなかったかと思う。