家庭の問題や周囲の人間関係を引きずりながら走る高校生加納碧李が挫折し(ランナー)、その後の復活戦で、唐突に現れた超高校級のライバル三堂貢と好勝負を演じた(スパイクス ランナー2)後、走りたい、三堂に勝ちたいという欲求を持ち始めた加納碧李と加納に興味を持った三堂の次の大会に向けた日々を、周囲の人物のエピソードを入れて描いた続編。
陸上選手を題材にした暗めの青春小説の体裁でスタートさせたシリーズを、続編でライバルを登場させてスポーツドラマに変身させ、3冊目のこの本ではスポーツドラマのクライマックスとなるべき試合はこの作者の例によって期待だけさせて描かず、1冊目と同様の周辺人物の人間ドラマを比較的明るめのトーンに変えて(登場人物を成長させ、吹っ切らせて)続けています。
この作者の代表作/出世作の「バッテリー」でも「完結」の1冊前の5巻でそれまでの主役たちの友人のひねくれキャラ瑞垣クン・吉貞クンのしゃべりでページをかせぎ続けましたが、この本も同様で、半分くらい加納の友人のマネージャー久遠君と三堂の従兄弟坂田君の語りで持たせています。この流れからすると、この「ランナー」シリーズも、続編が書かれるとすれば、ラストは「バッテリー」同様のパターン(あえて書きませんが、私には勘弁してくれよ、これはないだろ的な)なんだろうなと思えてしまいます。

あさのあつこ 幻冬舎 2013年5月10日発行
陸上選手を題材にした暗めの青春小説の体裁でスタートさせたシリーズを、続編でライバルを登場させてスポーツドラマに変身させ、3冊目のこの本ではスポーツドラマのクライマックスとなるべき試合はこの作者の例によって期待だけさせて描かず、1冊目と同様の周辺人物の人間ドラマを比較的明るめのトーンに変えて(登場人物を成長させ、吹っ切らせて)続けています。
この作者の代表作/出世作の「バッテリー」でも「完結」の1冊前の5巻でそれまでの主役たちの友人のひねくれキャラ瑞垣クン・吉貞クンのしゃべりでページをかせぎ続けましたが、この本も同様で、半分くらい加納の友人のマネージャー久遠君と三堂の従兄弟坂田君の語りで持たせています。この流れからすると、この「ランナー」シリーズも、続編が書かれるとすれば、ラストは「バッテリー」同様のパターン(あえて書きませんが、私には勘弁してくれよ、これはないだろ的な)なんだろうなと思えてしまいます。

あさのあつこ 幻冬舎 2013年5月10日発行