海賊船(ディアブロ号・タイガー号)とその属する「海賊連盟」、吸血海賊船ヴァンパイレーツ(ノクターン号)と反旗を翻して独立したシドリオたち、ディアブロ号とノクターン号に命を救われた双子の兄弟コナーとグレースの運命で展開するファンタジー。
12巻では、11巻でコナーとグレースがシドリオの子で人間とヴァンパイアのハーフの「ダンピール」であると知り、シドリオと妻となったローラが2人をシドリオが支配するブラッド・キャプテン号、ローラが支配するバガボンド号へと招待し、海賊連盟とノクターン号はこれを利用して2人をスパイとして送り込むが、コナーとグレースは、シドリオとローラの陰謀で知らぬうちに人の血を摂り血への飢えを感じるとともにシドリオや乗組員への親しみを感じ、板挟みに悩むようになり…という展開になります。コナーは尊敬しその指導に従ってきた海賊連盟の幹部たちとりわけチェン・リーから、グレースは愛していたローカンから、心が離れ、成長し自立していくというか、ふてぶてしく図々しくなっていく様子が描かれ、どう展開していくのかと少しハラハラします。
日本語版12巻は、原書第5巻(原題:EMPIRE OF NIGHT)を例によって小分けして訳した2つめです。12巻で大きく展開を見せた上で一区切りついていますので、たぶん日本語版11巻と12巻で原書第5巻は終わっているものと思います。日本語版12巻がこれまでに比べて分厚いのは、原書1巻を日本語版3巻に分けるのがあまりに阿漕だと反省したものか、単に3つに分けるのには短いのか。
原書第5巻冒頭、日本語版では11巻冒頭のプロローグは、12巻の終盤に続いていますが、プロローグの部分は繰り返されず、プロローグ部分だけ話が飛んでいる形になっています。原書の読者は、一気に読めばプロローグを覚えているでしょうし、覚えていなければその同じ本の前を見ればすみます。しかし、2冊に小分けされ、出版が3か月ずらされている日本語版の読者は、12巻が出版された頃にはたぶんプロローグを覚えていないでしょう(私にしても、このプロローグが日本語版読者には不親切なことになると11巻の記事で書いておいたから頭に残っていただけです)し、11巻を読み返さなければ話も飛んでしまうということになります。このシリーズの本が出る度に繰り返していますが(「トワイライト」でも言い続けましたが)、実に読者をバカにしたやり方だと思います。出版社にしてみれば全巻買い求める読者だけがお客様で、図書館で借りて12巻を読むときには11巻が手元にないというような人は読者扱いする必要がないということかもしれませんけど。

原題:VAMPIRATES:EMPIRE OF NIGHT
ジャスティン・ソンパー 訳:海後礼子
岩崎書店 2013年6月30日発行 (原書は2010年)
11巻は2013年4月16日の記事で紹介しています。
12巻では、11巻でコナーとグレースがシドリオの子で人間とヴァンパイアのハーフの「ダンピール」であると知り、シドリオと妻となったローラが2人をシドリオが支配するブラッド・キャプテン号、ローラが支配するバガボンド号へと招待し、海賊連盟とノクターン号はこれを利用して2人をスパイとして送り込むが、コナーとグレースは、シドリオとローラの陰謀で知らぬうちに人の血を摂り血への飢えを感じるとともにシドリオや乗組員への親しみを感じ、板挟みに悩むようになり…という展開になります。コナーは尊敬しその指導に従ってきた海賊連盟の幹部たちとりわけチェン・リーから、グレースは愛していたローカンから、心が離れ、成長し自立していくというか、ふてぶてしく図々しくなっていく様子が描かれ、どう展開していくのかと少しハラハラします。
日本語版12巻は、原書第5巻(原題:EMPIRE OF NIGHT)を例によって小分けして訳した2つめです。12巻で大きく展開を見せた上で一区切りついていますので、たぶん日本語版11巻と12巻で原書第5巻は終わっているものと思います。日本語版12巻がこれまでに比べて分厚いのは、原書1巻を日本語版3巻に分けるのがあまりに阿漕だと反省したものか、単に3つに分けるのには短いのか。
原書第5巻冒頭、日本語版では11巻冒頭のプロローグは、12巻の終盤に続いていますが、プロローグの部分は繰り返されず、プロローグ部分だけ話が飛んでいる形になっています。原書の読者は、一気に読めばプロローグを覚えているでしょうし、覚えていなければその同じ本の前を見ればすみます。しかし、2冊に小分けされ、出版が3か月ずらされている日本語版の読者は、12巻が出版された頃にはたぶんプロローグを覚えていないでしょう(私にしても、このプロローグが日本語版読者には不親切なことになると11巻の記事で書いておいたから頭に残っていただけです)し、11巻を読み返さなければ話も飛んでしまうということになります。このシリーズの本が出る度に繰り返していますが(「トワイライト」でも言い続けましたが)、実に読者をバカにしたやり方だと思います。出版社にしてみれば全巻買い求める読者だけがお客様で、図書館で借りて12巻を読むときには11巻が手元にないというような人は読者扱いする必要がないということかもしれませんけど。

原題:VAMPIRATES:EMPIRE OF NIGHT
ジャスティン・ソンパー 訳:海後礼子
岩崎書店 2013年6月30日発行 (原書は2010年)
11巻は2013年4月16日の記事で紹介しています。