伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

弁護士の格差

2024-04-03 19:40:56 | 実用書・ビジネス書
 弁護士数を増やした司法制度改革の結果生じている弁護士の経済格差、意識格差等について論じた本。
 プロローグの小見出しや表紙見返しには、他に「スキル格差」という文字も見られますが、そこはほとんど書けていない感じで、そこに期待すると羊頭狗肉感があります。
 「費用格差」、もちろんあると思いますし、弁護士会の法律相談センター経由の受任事件の報酬審査や苦情窓口を担当している(やらされている)と、私の感覚よりはずいぶんと違う報酬観を持つ弁護士が少なからずいるとは思っています。しかし、不倫慰謝料500万円を請求され訴訟になった場合の弁護士費用が、「街弁」約80万円~130万円、「新興法律事務所」最低50万円~最大130万円、「格安弁」60万円+実費+消費税(68~71ページ)っていうのはどうなんでしょう。著者は88人の弁護士に取材したと何度も書いていますが、これが代表例なんでしょうか。
 「依頼者感情を考慮し『とことん事件につき合う』弁護士が増えてきたという。事件につき合えば、その分『弁護士報酬が増える』(30代若手弁護士)からだ」(170ページ)というのも同じです。そういう弁護士が現に増えているのか、取材相手が偏っているのか…
 元裁判官の弁護士が国選弁護事件について「自分が引き起こした事件で弁護士も雇わず、国民の血税で弁護士をつけているとなると、これはどうしても心証はよくないですよね」と言っている(107~108ページ)というのも驚きです。裁判官一般がこう考えているのではないでしょうけれども、取材にこういう答をしている人がいるわけですから。


秋山謙一郎 朝日新書 2018年1月30日発行

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