伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

だから私は、明日のきみを描く

2024-09-05 19:38:01 | 小説
 「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」の脇役で美術部の1年生望月遠子が、陸上部員羽鳥彼方が黙々と棒高跳びを続ける姿を見て恋に落ちたところ、親友で恩人の広瀬遥が羽鳥彼方を好きなことを知り、自分の気持ちに封印しつつこっそり彼方の跳ぶ姿を描き続け…という青春恋愛小説。
 女子グループでの遠慮と不本意な同調、裏切り者への非難、無視といった陰湿で暗い話が大部分を占め、言わずもがなの記述に満ちた遅く重苦しい展開がしんどい印象です。
 「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」で文化祭の後美術部を訪ねた丹羽茜が部長の里美と「青春ですなあ」とつぶやきをかわすシーン(文庫版で172~174ページ)の陰にはこんな苦闘があったのかという作品ですが、私は、結局、この「青春ですなあ」がすべてという気がしました。


汐見夏衛 スターツ出版 2018年1月25日発行
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