小さい頃から1人で何でもできてしまい小学校の卒業文集の将来の夢は200歳まで生きる、絵や短歌などで表彰の常連、けん玉のチャンピオンで成績は1番の、マイペースでそのために孤立している成瀬あかりの中学2年生から高校3年生までを、成瀬あかり史を見届けたい幼なじみでバドミントン部の(ここ、つい特筆してしまう)島崎みゆき、成瀬らが西武大津店閉店間近に通い地元のテレビに映っているのを見ていた稲枝敬太、成瀬を嫌っている同級生の大貫かえで、かるた大会で成瀬を見初めてデートした広島の高校2年生西浦航一郎、そして成瀬自身の視点で見た短編連作。
成瀬の独特のしゃべり、言葉遣いにこれをどう表現するのがフィットするのかを考えていたら、西浦が「RPGの村人みたいな口調」(146ページ)というのに、そうかと膝を叩きました。
舞台となっている膳所は、私の父方の縁者がいて子どもの頃通った町で、ひとかたならぬ思い入れがあり、そういう点でも親近感を持って読みました。
「ありがとう西武大津店」と稲枝敬太視点のそこでは成瀬は「通行人A」でしかない「階段は走らない」以外は書き下ろしです。ということは、元は西武大津店つながりというか西武大津店を舞台にした群像劇みたいな構想だったのが、単行本化するときに成瀬に焦点を当ててそれが当たったということみたいですね。
成瀬は、最初の3編で中2、中3は跳んで、大貫かえでの「線がつながる」で高1、西浦航一郎の「レッツゴーミシガン」で高2、ラストの「ときめき江州音頭」で高3です。「ありがとう西武大津店」の2020年8月で中2の成瀬は、この本の出版時点(2023年3月)ではまだ高1なのに、書き下ろすのに高3にしてしまうのってどういう感覚なんでしょう。高1まででは話を作れなかったのでしょうか。
宮島未奈 新潮社 2023年3月15日発行
2024年本屋大賞受賞作
成瀬の独特のしゃべり、言葉遣いにこれをどう表現するのがフィットするのかを考えていたら、西浦が「RPGの村人みたいな口調」(146ページ)というのに、そうかと膝を叩きました。
舞台となっている膳所は、私の父方の縁者がいて子どもの頃通った町で、ひとかたならぬ思い入れがあり、そういう点でも親近感を持って読みました。
「ありがとう西武大津店」と稲枝敬太視点のそこでは成瀬は「通行人A」でしかない「階段は走らない」以外は書き下ろしです。ということは、元は西武大津店つながりというか西武大津店を舞台にした群像劇みたいな構想だったのが、単行本化するときに成瀬に焦点を当ててそれが当たったということみたいですね。
成瀬は、最初の3編で中2、中3は跳んで、大貫かえでの「線がつながる」で高1、西浦航一郎の「レッツゴーミシガン」で高2、ラストの「ときめき江州音頭」で高3です。「ありがとう西武大津店」の2020年8月で中2の成瀬は、この本の出版時点(2023年3月)ではまだ高1なのに、書き下ろすのに高3にしてしまうのってどういう感覚なんでしょう。高1まででは話を作れなかったのでしょうか。
宮島未奈 新潮社 2023年3月15日発行
2024年本屋大賞受賞作