伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

カケラ

2024-03-29 22:16:44 | 小説
 テレビ番組でコメンテーターなどを務める売れっ子の論客で元ミス・ワールドビューティー日本代表の美容外科医橘久乃が、小学校時代の太った同級生横網八重子の娘吉良有羽が自殺した原因を調べるために関係者に面談した際の聞き取りの形式で横網八重子と吉良有羽の周囲と様子を描き出して行くミステリー小説。
 久しぶりに読んで、あぁこの人はこういう構成、こういう文体の人だったなぁと思い起こしました。聡明で美人の橘久乃に対してあからさまに持ち上げる人、敵愾心を露わにし辛辣に非難する人の物言いを、作者は自分がそういう人に向ける気持ちで書いているのか、自分がそういう視線を受けているという思いで書いているのか…
 最後にこの小説のモデルとなっている美人女医(そう明記されているので)が「解説」を書いています。それはそれで珍しい趣向ではあるのですが、ミステリーなのですから解説者が架空/虚構の人物でその「解説」も作品の一部だったというオチの方がしゃれていると思います。


湊かなえ 集英社文庫 2023年1月25日発行(単行本は2020年5月)
「小説すばる」連載
コメント
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