ローマ帝国時代からその後の東ローマ帝国(ビザンティン)と西ヨーロッパでのキリスト教美術について解説した本。
西ヨーロッパ諸国でのキリスト教美術が作者の創意工夫・独創性を持ちより自然で科学的な描写(遠近法等)をしているのに対し、ビザンティン美術では作者の独創性や人にとっての自然な視点を示すことが神の視点・絶対性を侵すものとして許容されなかった、「逆遠近法による美術は、画家が絵画の中に入り込んでその中を歩き回り、そこに描かれている人たちの視点から見えている物を描いた結果である」「あらゆる視点から網羅的にすべてを見通すというのは、神の目に他なりません」(74ページ)と説明されています(71~78ページ)。そうすると、複数方向からの視界を組み合わせたキュビズム(立体派:パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックとか)は、「神の視点」で東方正教会的だったのか…
私は絵画はよく見るのですが彫刻類はあまり見ないので、この本で紹介されている昔(ローマ帝国とか)の石棺の装飾彫刻や象牙浮彫は初見でした。昔のキリスト教美術では彫刻の方がいい感じのように思え、もう少し彫刻にも注意を払おうかと思いました。

瀧口美香 中公新書 2022年9月25日発行
西ヨーロッパ諸国でのキリスト教美術が作者の創意工夫・独創性を持ちより自然で科学的な描写(遠近法等)をしているのに対し、ビザンティン美術では作者の独創性や人にとっての自然な視点を示すことが神の視点・絶対性を侵すものとして許容されなかった、「逆遠近法による美術は、画家が絵画の中に入り込んでその中を歩き回り、そこに描かれている人たちの視点から見えている物を描いた結果である」「あらゆる視点から網羅的にすべてを見通すというのは、神の目に他なりません」(74ページ)と説明されています(71~78ページ)。そうすると、複数方向からの視界を組み合わせたキュビズム(立体派:パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックとか)は、「神の視点」で東方正教会的だったのか…
私は絵画はよく見るのですが彫刻類はあまり見ないので、この本で紹介されている昔(ローマ帝国とか)の石棺の装飾彫刻や象牙浮彫は初見でした。昔のキリスト教美術では彫刻の方がいい感じのように思え、もう少し彫刻にも注意を払おうかと思いました。

瀧口美香 中公新書 2022年9月25日発行