アーキタイプと通称される「シミュレーション上は安定して存在するが、現実世界での合成方法は不明」な分子により構成され、尋常ではない速さで進化・変化して行く、既存の生態系とは異なる系統/傾向の怪獣たちが次々と現れるという設定のSF小説。
最新の宇宙論に依拠しているのか、その議論の雰囲気を利用しているのか、その議論をパロディ化しているのか、私には判断しかねますが、難解・晦渋(かいじゅう)な文章が続きます。怪獣の話だけに…なんちって、とかいう雰囲気ではありません。
プロローグから、たとえば「《それ》は絶えず自らのはじまりをはじめ、自らの終わりを終わらせ、はじまりをはじめることを終わらせ、終わりを終わらせることをはじめ続けていた」(8ページ)とか、「それは、《それ》にとって終わった過去で、知らない過去で忘れた過去で、起こりえなかった過去であり、これから起こる過去だった」(9ページ)みたいな文章が続いています。このあたりでもうクラクラしてしまう人には、辛い作品です。やたらと指示代名詞が多い文章を、健忘が進んだ老人との会話には慣れていると思って読めれば大丈夫かもしれません(違うか)けど。
円城塔 集英社 2022年7月31日発行
最新の宇宙論に依拠しているのか、その議論の雰囲気を利用しているのか、その議論をパロディ化しているのか、私には判断しかねますが、難解・晦渋(かいじゅう)な文章が続きます。怪獣の話だけに…なんちって、とかいう雰囲気ではありません。
プロローグから、たとえば「《それ》は絶えず自らのはじまりをはじめ、自らの終わりを終わらせ、はじまりをはじめることを終わらせ、終わりを終わらせることをはじめ続けていた」(8ページ)とか、「それは、《それ》にとって終わった過去で、知らない過去で忘れた過去で、起こりえなかった過去であり、これから起こる過去だった」(9ページ)みたいな文章が続いています。このあたりでもうクラクラしてしまう人には、辛い作品です。やたらと指示代名詞が多い文章を、健忘が進んだ老人との会話には慣れていると思って読めれば大丈夫かもしれません(違うか)けど。
円城塔 集英社 2022年7月31日発行