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伊東良徳の超乱読読書日記

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世界大麻経済戦争

2022-08-27 21:03:17 | ノンフィクション
 日本ではただ所持しているだけでも逮捕され処罰される大麻(マリファナ)について、医薬品としての需要、産業用(繊維、建築資材等)の需要などから合法化する国(アメリカでは州レベル)が増えているとして、日本はこのままでは大麻ビジネスに乗り遅れると主張する本。
 人を攻撃的にして暴力に繋がりやすいアルコール(飲酒)が合法なのに人をリラックスさせストレスを減らし、依存性・禁断症状・耐性(繰り返し使用により効きが悪くなり使用量が増えること)・習慣性・中毒性のすべてでアルコールより危険度が低い大麻を禁止するのは不合理(8~12ページ、38~40ページ)というのは、そう言われるとそうかなと思います。ただ著者が引用しているのは1つの研究報告についてのニューヨークタイムズの記事で、長期使用の影響についてはまだわかっていないことが多い(42~45ページ)、厚労省の広報等は証明されていないことを誇張している(46~49ページ)という主張だと、影響がわかっていないから解禁できないのか、だから解禁すべきなのかというところに行ってしまい、嗜好用の大麻を合法化している国はまだかなり少数派にとどまっているのを世界の潮流は合法化というイメージで描き出しているところと合わせて、今ひとつ説得力が弱い印象を持ちます。
 医療用、産業用需要も合わせて書いているのが多方面からの記述となっている面はありますが、ごっちゃになっている感じがして、そこは切り分けて整理した方がいいように思えました。


矢部武 集英社新書 2021年8月22日発行
コメント
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