かつてはイギリスの政治家がドイツの高官と密談し国際政治の裏工作を行っていた館の執事の一人語りの形で、イギリスの伝統、イギリス型生活様式、過去の栄光へのこだわりなどを紹介しつつ、その事大主義と尊大さ、栄光を失った現在を戯画的に描いて皮肉った小説。
伝統ある館に勤め続けた執事の誇りとこだわりで、イギリスの伝統と、貴族らの栄華、上流階級のかつての生活様式を語り、持ち上げながら、次第にその滑稽さ、栄光を失い時代の変化に追従せざるを得なくなってきている現状にシフトして行き、結局は過去の栄光などへのイギリス人のこだわりを皮肉り、しかし最後にはむしろ哀感を漂わせる手腕が冴えています。
ある意味では、外国人だから書けた作品といえるのでしょうけれど、こういった作品にブッカー賞を与えたイギリス文学界の姿勢は、余裕なのでしょうか。それとも日本人にもありがちな、外国人へのおもねりなのでしょうか。

原題:The Remains of the Day
カズオ・イシグロ 訳:土屋政雄
早川文庫 2001年5月31日発行(中公文庫1994年1月、原書は1989年)
伝統ある館に勤め続けた執事の誇りとこだわりで、イギリスの伝統と、貴族らの栄華、上流階級のかつての生活様式を語り、持ち上げながら、次第にその滑稽さ、栄光を失い時代の変化に追従せざるを得なくなってきている現状にシフトして行き、結局は過去の栄光などへのイギリス人のこだわりを皮肉り、しかし最後にはむしろ哀感を漂わせる手腕が冴えています。
ある意味では、外国人だから書けた作品といえるのでしょうけれど、こういった作品にブッカー賞を与えたイギリス文学界の姿勢は、余裕なのでしょうか。それとも日本人にもありがちな、外国人へのおもねりなのでしょうか。

原題:The Remains of the Day
カズオ・イシグロ 訳:土屋政雄
早川文庫 2001年5月31日発行(中公文庫1994年1月、原書は1989年)