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伊東良徳の超乱読読書日記

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こうして女性は強くなった。 家庭面の100年

2014-02-17 22:20:59 | 人文・社会科学系
 読売新聞が1914年に「よみうり婦人付録」という1ページの婦人欄を設けてから100年になるのを記念して、主として戦前・戦中の婦人欄・家庭面の記事から当時の女性の地位と社会を紹介する本。
 関東大震災での避難時の不便や逃げ遅れから洋装が普及した様子、戦中の国家総動員体制の下で女性の労働が必要になりたくましい女性・働く女性が賛美され(しかし同時に産めよ増やせよも)活動的な女性像や女性の労働が認知されていく様子が、基本的には評価を示さないで淡々と紹介されています。
 「こうして女性は強くなった。」というタイトルにふさわしい記事は、私には見つけられませんでした。読売新聞が、我が社は100年前に婦人欄を設ける先見の明があったということを自慢したくて作った本という印象です。
 市川房枝らが女性の勤労動員を徴用の形でハッキリと行えという意見書をまとめたことを「役人の片棒かつぎ」と評価した記事を紹介し、「市川はなぜ戦争体制に協力したのだろうか」と問い(140~141ページ)、市川らの動きで婦人参政権が実現したことを紹介した上で「婦人参政権が、戦争協力の結果として実現したというのは、現在の我々には認めがたい」としています(142~143ページ)。この点については、「はじめに」で「この本では市川の戦時中の言論について触れているが、婦人参政権を獲得するための当時のロジックを紹介することが目的で、断罪しようというものではない」とわざわざ断っています(3ページ)。
 市川房枝の戦争協力は言い訳をしながらも紹介する読売新聞は、この本で何度も登場する戦時体制下での翼賛体制を広報した新聞記事についてはほとんど評価・コメントをせず、新聞社の戦争協力についてはまるで論じていません。そういう姿勢は、何だかなぁと思いました。


読売新聞生活部編 中央公論新社 2014年1月10日発行
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