伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

嘘つきは恋のはじまり

2010-08-15 18:13:39 | 小説
 町の誇りの高校アメフトチーム選手のイケメンをボーイフレンドに持ちながら、別の同級生イケメンと隠れて浮気している、成績優秀な美女ケイティが、中学時代にアメフトチームのスター選手たちの不正を暴いて町の嫌われ者となって去った同級生トミー・サリヴァンが町に戻ってきたことをきっかけに思い悩むラブコメです。
 イケメンを見るとキスしたくなるケイティは、実は町の名物の貝が大嫌いで町一番の人気者のボーイフレンドセスにも退屈していたが、大勢に従って名物の貝を売り、セスとの交際を続けていました。このあたり、自分がしたいことを隠し、本当にしたいことがわからないでいたケイティが、信念を貫き町の嫌われ者となったトミーとの再会を機に、本当にしたいことを見つけていく、というようなことがテーマの青春小説という側面も持っています。
 しかし、そのケイティがイケメンであればキスしたくなるという設定で、トミーについても4年前はさえない男の子だったのに背が30センチも伸びてたくましくなりものすごいイケメンに変貌して再会したことが考え直す動機になっていることや、ケイティ自身も、またボーイフレンドも友達もすべてイケメン・美女揃いの設定ですから、どうも「人は見た目がすべて」というか、イケメン・美女であることがすべての前提というメッセージが感じられます。トミーが内面的に成長して外見はさえない男で帰ってきたのなら、あっさり追放されて終わりかと思ってしまいます。
 ケイティがセスに対して、外見のことはほめてくれるけど本当に大切なことに対しては何もいってくれない(268ページ)と不満を持ちながら、でも自分はただイケメンを求めているでは説得力がありません。ラブコメの主人公がジコチュウなのは、ありがちなことではありますが。


原題:Pants on Fire
メグ・キャボット 訳:代田亜香子
理論社 2010年3月発行 (原書は2007年)
コメント
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