南の大陸の大国タルシュ帝国の大軍の侵略に脅かされる新ヨゴ皇国の皇太子チャグムと女用心棒のバルサが、タルシュ帝国に対抗するためにロタ王国とカンバル王国の同盟を説得するため、ロタ王国からカンバル王国に向かい、タルシュ帝国の刺客やカンバル王国幹部の裏切りに危機に会いつつカンバル王を説得するまでを描いたファンタジー。
カンバル王国の牧童たち、ロタ王国の王族と「猟犬」カシャルたち、新ヨゴ皇国で徴兵された草兵たち、タルシュ帝国の幹部たち、カンバル王国の幹部「王の槍」たちの視点で立体的に描かれていますが、皇太子チャグムを中心に置き、国家間の折衝・思惑で展開するため、精霊の守り人など初期のシリーズで感じられた民・被差別民の視点が薄まっています。プロットの展開としてはファンタジーとして純化しておもしろいとはいえますが。
敵を強大に設定している上にバルサの衰えを1つのモチーフにしているので、これまでにもましてバルサが傷だらけになり、読んでいて切ないというか痛々しい。ちょっとしか出てこない草兵として徴用されたタンダもこき使われて可哀想だし、ここまでいじめたら、最後はバルサとタンダは結ばれるハッピーエンドにしてあげて欲しいなあと、しみじみと思ってしまいます。(最初のシリーズから読んでないとわかりにくいですね。すみません)

上橋菜穂子 偕成社 2007年2月発行
カンバル王国の牧童たち、ロタ王国の王族と「猟犬」カシャルたち、新ヨゴ皇国で徴兵された草兵たち、タルシュ帝国の幹部たち、カンバル王国の幹部「王の槍」たちの視点で立体的に描かれていますが、皇太子チャグムを中心に置き、国家間の折衝・思惑で展開するため、精霊の守り人など初期のシリーズで感じられた民・被差別民の視点が薄まっています。プロットの展開としてはファンタジーとして純化しておもしろいとはいえますが。
敵を強大に設定している上にバルサの衰えを1つのモチーフにしているので、これまでにもましてバルサが傷だらけになり、読んでいて切ないというか痛々しい。ちょっとしか出てこない草兵として徴用されたタンダもこき使われて可哀想だし、ここまでいじめたら、最後はバルサとタンダは結ばれるハッピーエンドにしてあげて欲しいなあと、しみじみと思ってしまいます。(最初のシリーズから読んでないとわかりにくいですね。すみません)

上橋菜穂子 偕成社 2007年2月発行