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遠江・若身の城山 徳川家康が犬居城に拠る春野の天野氏を攻めるために築いた付城

2020-06-09 | 歴史

若身の城山は静岡県浜松市天竜区春野町堀之内にあります。
 武田方に付いた春野の天野氏を討つために、徳川家康が犬居城を囲むようにいくつもの付城を築き、若身の城山の南東350mの堀の内の城山に本陣を置いたとされます。以前は若身の城山は犬居城の出城とされていましたが、最近では徳川軍の付城説が有力になっているようです。
 今回は資料として『静岡県の中世城館跡』静岡県教育委員会 1978 、静岡の山城ベスト50を歩く、「塩の道ウォーキング」静岡新聞2000などを参考にしました。

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春野は太平洋の御前崎から秋葉神社本宮を通り塩尻に至る「塩の道」の南塩ルートが通過する重要な地点で、長く天野氏が一帯を支配しました。今回の若身の城山は、塩の道が犬居から遠州に向かうつづら折りの峠道を登り切った付近に築かれていました。


若身の城山 かつて瑞雲院があった犬居幼稚園からの遠望
 犬居幼稚園の建つ場所は、かつて天野氏の菩提寺の瑞雲院が有った場所ということです。徳川家康の犬居城攻撃の際に堂宇のすべてが灰燼に帰し、後に現在地に再建されたということです。


若身の城山 瑞雲院の南側から塩の道をたどり、つづら折りの道に入る
 秋葉道・塩の道踏査究会の建てた道標が随所に立っていましたので、塩の道をたどることが出来ました。
なお、資料とした「塩の道ウォーキング」は秋葉道・塩の道踏査研究会の調査結果に基づいています。


若身の城山 つづら折りの塩の道を折り返しながら登る 道を上から見たところ
 写真にはうまく写っていませんが、塩の道は急な山肌を何度も折り返しながら登りました。本来は戦時の道ではなかったはずですが、戦国時代には軍の移動にも使われていたのでしょうね。折返しの続く道ですが往時の武将は馬に乗ってここを往来したのか、馬は降りたのかなど考えながら登りました。


若身の城山 城山の最高点にはアンテナ群が設置されている
 塩の道から右折して城山へ向かいました。城山の最高点にはいくつかのアンテナが立っていました。付城としての遺構は見当たりませんが、短期で臨時の砦だったのでもともと城郭遺構はなかったのかもしれないと思いました。


若身の城山 最高所付近にはNHKのサテライト局も建つ
 アンテナ群の立つ最高所から50mほど西に行ったところにはNHKのサテライト局が建っていました。大きく地形を改変した様子が無いので、ここも城郭遺構はなかった可能性が高そうでした。


若身の城山 NHKのサテライト付近からの絶景   犬居の町が一望できる
 山全体には樹木が茂っているので展望は良くないのですが、この一角は開けていて、素晴らしい眺望を楽しめました。ここに陣取った家康軍は犬居の町と犬居城を戦勝気分で見下ろしたことでしょうね。逆に付城で包囲された天野氏は甲斐へ去ったと伝わります。
  
今回は、若身の城山に遺構が見当たらなかったのは残念でしたが、塩の道をたどることが出来、山上からの絶景も楽しめましたのでよかったです。

天野氏の拠点だった犬居城、南東350mの山上には徳川家康が本陣を置いたとされる堀の内の城山も訪れましたので、改めて記事にしたいと思います。