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日常生活のあれこれ

「興福寺仏頭展」

2013-12-01 07:09:52 | 美術館 博物館

                    白鳳の微笑みに惹かれて会いに行きました。


                

             法相宗は弥勒菩薩を鼻祖とし、玄奘三蔵によって中国にもたらされ、
             奈良時代に興福寺に伝わり、「興福寺」は日本の法相教学の中心
             寺院として発展しました。


        

                厨子入り木造弥勒菩薩半跏像


           

                      今回厨子からお出ましでした

                              

                        弥勒菩薩像の光背は 

                

                 檜材と銅を組み合わせて作られ、五方向に三条づづ
                 射光をだす特異な形式。
                           


                  

                厨子の中の絵を見ることができました、正面・左右側面などに
                法相祖師・十大論師の諸像が描かれています。
                これは左奥扉の絵、左側上から三段目が玄奘三蔵です。

                

                 台座は12方6段の華麗な蓮華座で、連弁一つ一つに
                 弥勒菩薩坐像一体を描き、下敷茄子に獅子像一体を
                 あらわしている。 
 

     
                 今回の展示の中でユーモラスな表情がとても気に入り
                 大好きになった 国宝 板彫十二神将を紹介します。


        

             厚さ3cmの檜材の平板から彫りだした12面のレリーフです

        

             大将像は正面向きから左方、右方があり、いずれも岩座に立ちます

        

                表情や姿勢も様々で変化に富み

        

          目鼻・口腔の起伏や手足の重なりがわずかな厚みの中にも奥行きを感じます

        

            右の迷企羅像は肩紐で吊る短衣をつけていますが、他はみな着甲です

        

          下顎を出し歯を食いしばる伐折羅大将、武器を持ち威嚇する宮昆羅大将

          この板彫十二神将像の、豊かな表情に親しみがわきました。
           


           もう一組の十二神将も紹介しましょう。

           木造十二神将立像

       板彫十二神将と同名の大将ですが、十二神将像はその表記、発音、並び順序、
       十二支獣との関係などが決して一様ではなく、興福寺の木造十二神将立像は
       頭上にいただく十二支獣との関係からこの順番になったそうです。


    

      鼠を頭にいただいき、遠くを見やるような仕草でしょうか、細い指先が意外でした

    

       いづれもポーズがある立像で、その姿も側面、背面からも見られ魅力的でしたが、
       特徴ある頭部分のみの紹介です

    

          顔の表情から想像できないほど頭にのせた十二支がかわいいのです

    

          そしてその表情から頭の動物を意識しているようにも見えました

    

            こちらの木造十二神将にもとても親しみを感じました

    

        犬を頭上にいただく大将は、正面から見ると剣を振りかざす姿ですが、
        上半身を少しかがめて、やや腰をひねる後姿に、いかつさは見られません。

 
        今までに仏閣・仏像の展覧会でも多くの十二神将が展示されてきましたが、
        二組の国宝が同時に展示されることは、最初で最後でしょうということでした。

        十二神将はどちらかというと脇役の傾向があるので、その特色など知られて
        いないようです。
        私も十二像の名前は言えませんし、憤怒の表情の名脇役をこんなに興味深く
        見たのは初めてでした。

 

               この十二神将がお守りするのが国宝「銅造仏頭」です。


               

             
            興福寺東金堂の薬師三尊像の本尊・薬師如来は東金堂の火災で
            失われましたが、それから500年以上を経た昭和12年(1937)


               


            現在の東金堂の本尊台座の内部から頭部のみが発見されました。
            それがこの国宝 銅造仏頭です。

            通常は興福寺国宝館に収蔵・展示されているので、今回の展示では
            東金堂に伝わる木造十二神将と久方ぶりに一堂に会したことになります。

                

                   視線は遠方のかなたに向けられています

               

            仏頭には左耳上の頭髪部にたてに入った鋭角的な深い窪みがある、
            この損傷は、堂が焼けて落下した時に何かに当たった打撃の傷で、
            左耳の下辺部も折損しました。

               

             仏頭は、鼻筋から眉にかけての描線がきれいで、青年のような
             若々しさが感じられます。
             口端を窪めて微笑みを浮かべ、品格のあるおおらかな表情の
             美しい仏頭でした。

             
             木造十二神将が広く配置され、その中央に十二神将に護られる
             かのように「仏頭」が置かれ、すべての像が側面も後面も全部
             見られるのが魅力です。

             心に残る「仏頭展」でした。
             

 

               


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