しなこじダイアリー

日常生活のあれこれ

ヴェネチィア展

2011-10-08 07:46:48 | 美術館 博物館

                 「世界遺産ヴェネチィア~魅惑の芸術ー千年の都」
                 えど友開催の見どころ解説と特別観覧会に出かけた。

 

                

                   学芸員による解説はわかりやすく、興味深かった

 

 

       

                     二人の貴婦人   ヴィットーレ・カルパッチョ
  
       1490-95年の作品 誤解や無理解にさらされなっがらも、のちにルネッサンス期
       ヴェネチィア絵画の中でもっとも名高く・広く愛される絵の一つとなる。

       ヴェネチィア絵画史全体においても希有な作品の一つである。
       サンマルコ広場にあるコッレール美術館に展示されている中でもっとも有名である。

 

       

        ブロンドの髪に奇妙なかたちの小さな帽子をかぶった二人のヴェネツィア女性、
        物思いに沈んだ二人のまなざしは、絵の境界線の外にある何かを見つめている。

        
        この絵は長い間、幾分いかがわしい名声を享受してきた。 
        この絵を[コルティージャ(高級娼婦)たち]の名で呼び、客を待つ二人の売春婦を
        描いていたものだといわれていた。

        だが比較的最近になって、実は二人は身分の高い貴婦人であり、ラグーナ(潟)に
        面したテラスに座り、夫か恋人か、誰かの帰りを待っているところだということが
        明らかにされた。

 

              

            1944年ローマのある美術商のもとでこの絵が発見されたのです。

            7艘の細い手こぎ船によるラグーナの狩りの場面が描かれている
            この絵の左下に百合の花が見えるが、茎が途中で切れており、
            どこから生えているのかわからない。

            このラグーナの絵が二人に貴婦人を描いていたの途中で切れていた
            百合の茎とつながることが発見されたのは1963年のことでした。

 

              

               その後、科学的分析などにより、これら2枚の絵がもとは
               一つの作品であったことが確実に証明された。

               また500年以上が経過する中で様々な苦難(乱暴な切断)
               を経てきたにもかかわらず、保存状態は良好であった。

 

      

        この絵に描かれている動物、植物などすべて偶然そこに配された訳ではない

 

              

        <花瓶> 紋章入りの壺にユリが生けられているが、茎は途中で切れている、
               2点の絵が結びつく要因となった。

        <オレンジ>棚の上に置かれたオレンジ、途中で切れたユリは処女性と
                 夫婦愛を表す。

        <少年>欄干から顔をのぞかせている少年は婦人の子供たちだろうか?
              彼の前に置かれている赤いカルカニエッティは誰のものであろうか?

        <オウム>「しゃべる」ことができることから遠く離れた愛するものの名を
                繰り返ししゃべることができ、宗教的祈りの文句も唱えること
                ができるという。

        <犬> グレ-ハウンドとおぼしき犬が貴婦人と戯れている。
              顔と前足しか見えず、身体はもう一枚の絵にあるのか・・・。

 

               

       <貴婦人>15世紀末から16世紀初めに流行した華麗な衣装を身にまとった
               婦人。 長い間娼婦という説があった。
  
       <ギンバイカ>異教世界においてキリスト教世界においても婚姻関係を表す。

       <犬> チワワのような犬。 忠実さの象徴であり、夫婦関係の忠節を表す。

       <カード>犬の前足の押さえられたカードには画家の書名ー「ヴェネスト人
              ヴィットーレ・カルパッチョ」ーとある。もう一行は摩滅していて解読不能。

 

           この絵が表しているのは、夫婦愛、純潔、官能による誘惑への抵抗、
           結婚がもたらす成果への敬意、無秩序な情熱の制御である。

           これらすべてのことからはっきりわかるのは、この絵が(家具の扉であれ、
           衝立のパネルであれ、窓の内側の板戸であれ)夫婦の部屋のインテリアを
           なしていたということであり、それゆえ婚姻の(とりわけ妻の)美徳と長所と
           特色を想起し、これを称えるものだったということである。

           この絵がいかにして2枚に分割され、異なるコレクションの道をたどることに
           なったか、その経緯をたどるという課題がまだ残されている。
           確実にわかっているのは、18世紀後半にはすでにいた絵の切断が
           行われていたということである。     (図録より引用)

           まだ長い年月、多くの収集家や著名人の所有になったり、秘密裏に国外に
           持ち出されたりと、長い時を経て今回この絵を見ることができたのです。
           この絵の公開は東京のみとの学芸員の話でした。