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しなこじダイアリー

日常生活のあれこれ

ヴェネツィア展  Ⅲ

2011-10-09 21:20:50 | 美術館 博物館

                        第2章  華麗なる貴族

                  ヴェネツィアのパラッツオ(邸館)における日常生活は、
                  長い年月の間さほど変わることはなかった。
         
                  中世、ヴェネツィアはその歴史においてもっとも輝かしい
                  時を迎えた。

 

           

 

           

                 アラティエルの物語 (婚礼の晩餐)  (横長の一つの作品)

           ルネッサンス時代のイタリアの女性が結婚する際にはカッソーネ(婚礼の柩)
           と呼ばれる家具の一種が嫁入りの道具としてあたえられた。

           蓋付きの大型チェストで、花嫁個人の、あるいは家族用の衣類、寝具などを
           収納するために使われ、絵画や木彫りの装飾が施されていた。

           本作はカッソーネの全面部分で、ジョバンニ・ボッカッチョ作「デカメロン」の
           一話に取材したエピソードが表されている。

           上段(左)には飾り付けされた室内の優雅な宴の様子が、下段(右)には
           武装した若者の騎馬行列が描かれている。

 

 

                

                    横顔の女性像 (クレオパトラ?) 16世紀半ば

               ジュゼッペ・リヴェッリのものとして知られる唯一の確実な作品。
               画家の正体が不明であるのと同様に、ここに描き出された
               テーマの解読も不確かである。

               コッレール美術館のカタログでは、賢明の擬人像だとされているが
               ここではエジプトの美しき女王、クレオパトラと解釈したい。

 

 

           

                   家族の肖像  16世紀  

            解説で出てきた作品のひとつで、同じ一族に属する17人の様々な年齢の
            男女が描かれている。  (顔がよく似ているので家族と分かる)
            中央に描かれているのか一家の紋章であるが、未だどの家族のものかは
            特定されていない。

            当時のファッションと流行を示すものとしてこの作品は重要である。
            手前に座った老人から子供たちまで多様な年代の男女の髪型や宝石などが
            注目に値する。

 

 

           

                   ブシュケの死が描かれた「グアスターダ」

               食卓用の液体容器、ルネッサンスのマジョリカ陶器の傑作

 

         

              薬種業用の壺             アレクサンドロス大王とロクサネスの
                                    結婚が描かれた皿

 

         

             塩入れ                       大型水差し

 

 

        

                 「カ・レッツオーニコ」様式のシャンデリア

         精巧な技術で制作された花冠、花弁の装飾が多数取り付けられている。
         500の色ガラスの小片から制作されていて、ひとつひとつ組み立てたそうです。

         薄暗い中、ため息の出るような美しさ、大変豪華な貴族の生活がうかがえる
         作品のひとつでした。

 

 

         

              アンドロスの婦人用ドレスと男性用礼服、燕尾服、キュロット、ベスト

 

 

         
         

           シルクの刺繍入りバッグやポーチ、今でもそのまま使えそうなデザインです。
           布好きですのでドレスやポーチに特に興味がありました。

           ヴェネツィアではバッグは15世に既に広く流布していた、一方フランスでは
           17世紀頃になって初めて広く普及し、男女問わず身につけるようになる。

 

                 

                 木靴  男女のファッションにおいて、靴は常に重要であった

 

                 

                     これも靴なのです、支えがなければ歩けません。
                     木、なめし皮で作られています。

 

 

                 

                    ジュデッカ島のナーニ家での祝宴

             この非常に珍しい場面は、ケルン選帝候大司教クレメンテ・アウグスト
             のために、1755年9月9日、ジュデッカ島のナーニ家の館で催された
             祝宴を描いたもの。

             この祝宴には100名を超える招待客が参加し、たくさんの召使いが
             給仕にあたった。

             この場面で支配的なのは馬蹄形のテーブルである、その上には豪華な
             食事が用意され、馬蹄形のテーブルの頂点には主賓が座っている。

             招待客は皆、流行の服に身を包み、その態度はエレガントでのびのびと
             している。

 

 

         

            仮装する人たち  (18世紀)       貴婦人の美容師 (18世紀)

 

 

         

             愛の告白  (1750年)              カードゲーム

    (左) 非常に優美な騎士が座って糸巻きをする若い婦人に愛の告白をしようとしている。

    (右) 部屋着でテーブルの周りに座る3名の人物がカードゲームに興じている、画面
        左の貴婦人は、ゲームの策を助言する紳士のささやきに耳を傾けている典型的な
        家族の情景。

 

         美の殿堂につづきます

 


ヴェネチィア展  [Ⅱ]

2011-10-09 07:26:43 | 美術館 博物館

                  

                  

                  イタリア北東部の都市、ヴェネツァアは世界有数の観光地

 

           

             ヴェネッィアの期限はほぼ2千年前にさかのぼる、ヴィザンチン帝国の
             政治権力の下に生まれ、成長し独立した。

 

           

                ヴェネチィア市立美術館群  代表する13の館なる組織で
                7つの館から作品を展示しています。

 

                 

                   カ・レッツォーニコ(ヴェネチィア1700年代美術館

 

                    第1章    黄金期  ヴェネツィア共和国

 

 

           

                サン・マルコのライオン    (ヴィットーレ・カルパッチョ)

             長い歴史を通じて、ヴェネツィア共和国の最も重要なシンボルであった。
             ライオンは古典および中世の伝統において「力」「知恵」「高貴さ」「自分の
             子供の保護」などを象徴した。

             2本の足を水中に、もう2本の足を地上において立つライオンは、
             ヴェネツィア国家の水陸両方の性格を表した。

 

 

          

             聖ヒエロニムスと聖アウグスティヌスを伴う聖マルコのライオン
                                   (ドナート・ブラガディン)

          巨大なライオンを描いたこの作品は、ドゥカーレ宮殿にある司法官の事務所の
          ために制作されたもので、作者の署名と1459年の年記がある。

 

                

                 アルヴィーゼ・ビアンコと協力者聖マルコのライオン

            この堂々たる聖マルコのエンブレムは、サン・マルコ聖堂のマトロネオ
            女性用の歩廊)に設置されたオルガンの収納ケースを飾っていた。

 

 

               

                総督マルコ・フォスカリーニ  (ナザーロ・ナッザーリ)

             著名な歴史家にして文学者であり多くの書物の著者であった。

             肖像画の画家ナザーロ・ナッザーリはモデルの心理に鋭く迫る
             画家様式を受け継ぎ、総督の衣や被り物の高価な布地の表現を
             きわめて正確で、光を表す筆遣いによって生き生きと表現されている。
             ヴェネツィア共和国最後の総督たちの肖像画の作例中では際だっている。

 

 

           

                   船の模型  ガレー船    (作者不詳)

             旗をつけた3本マスト2つの錨を有する44櫂式ガレー船の模型
             戦闘用および商業用の古典的な船を指す。

 

   

        ガレー船の建造は比較的短時間でおこなわれ、厳密な設計図や計算上の規則は
        存在しなかった。

        長さ約40-50m、幅5-7m、2本マスト(21mほどの高さで、嵐の時速度を
        増すため、収納可能な3本目を備える)を装備した。 櫂で漕ぐ人力で動く。

        外国映画でこのガレー船が出てくる歴史劇をよく見た覚えがある、漕ぎ手は
        囚人だっように思う、戦闘においては過酷だった、訓練された兵士だった
        かもしれません。  歴史映画が好きだったので、いろいろ想像しながら見た。

 

 

                

               1688年 木と紙製の高さ146cm、直径108cmの地球儀

               会場では正面に日本が見えるように展示されていた。

               他にも天体観測リング、世界航海図、コンパスや望遠鏡、
               日時計などいずれも精巧な作りだった。

 

 

        

           (左) ヴェネツィア海軍総監カルロ・アウレリオ・ウイドマンの肖像画
               1797年共和国滅亡前最後のヴェネツィア海軍総督の姿は
               赤と金を主調としたまばゆい色彩の中に描かれている。

           (右) マルコ・ポーロの帰還 商人、旅行家、冒険家であったマルコ・ポーロは
               疑いなくヴェネツィア史の中でもっとも著名な人物であると言える。
               「東方見聞録」はこれまで書かれた旅行記の中でもっとも有名であり、
               マルコポーロ神話はよく知られている。

               帰還したマルコ・ポーロが、彼の体験を証拠立てる宝石や貴石を
               持参したところを描いている。

 

 

                 

                      総督モロジーニの祈祷書と銃 (作者不詳)

            この大変興味深く、きわめて珍しい祈祷書はフランチェスコ・モロジーニの
            所有物であった。    それは改造を加えられ、個人的な防衛のための
            小拳銃を収めることができるように、秘密の隙間が作られている。

            本品は軍人であった著名なこの総督が自分の身に起こることを懸念
            していた謀反や陰謀の際自衛の心構えのあったことを証言している。

            展示を見ると思ったより小型で、銃は日本での展示にはレプリカです。
            「いざというときこんな所から取り出せるのかしら?」なんていう声も
            聞こえてきました。

 

 

                

                      真実の口   (作者不詳)

            真実の口は、人や犯罪、とりわけ政治権力やその司法府に対する犯罪
            (汚職、裏切り、スパイ行為、横領・・・)に関する匿名の告発のために
            用いられた。    その機能は郵便受けのようなものである。

            告発の書状はここからか回収された後、10人委員会の卓上に運ばれ
            その場で被疑者に対していかに訴訟を起こすかが決定された。

            我が国でいう目安箱でしょうか?怖い顔が気になります。

 

 

         

          元老員議員にしてサンマルコ財務官ヴィンチェンツオ・クエリーニの肖像
          40才位で司法官の衣装を身につけ、流行の鬘を被り、公職にあることを示す
          ビロードのストラ(ストール)をつけている。

          右の長衣トストラはサンマルコ財務官のもの。
          ヴェネツィア総督の次に高位の身分である9人のサンマルコ財務官は、
          緋色のダマスコ織りによる長衣(トーガ)を身につけた。

 

 

                       唯一の都市 ヴェネツィア

          ヴェネツィアは3つの潟口によって外海と結ばれるラグーナ(潟)に位置し、
          都市の生活は常に6時間ごとの塩の干満によってリズムを与えられていた。
          
          町は400以上の橋で結ばれた多くの小島から構成されるが、その建設は
          きわめて特殊な技術による。

          ヴェネツィアに特徴的な町「世界で一つだけの」都市を作り上げることになった。

          地上の歩行者の交通網は、カツレ(道)、カンポ(広場)、フォンダメンタ(河岸)
          に分節される。

          水上の交通網はカレーナ(大運河)とリオ(小さく狭い運河)からなり、そこを
          人と物資の運搬のための様々な種類と大きさの船舶が絶え間なく行き交った。

          ヴェネツィアは1846年鉄道建設に至るまで、完全に孤立した一つの島だった。
          水道の供給も1898年ラグーナに渡る導水管が敷設されるまでは、雨水を
          集める井戸のシステムによっていた。

          とはいえ、共有空間、道、運河においてヴェネツィアの生活は豊かさと活力を
          もって脈打っていた。

 

        

               リアルト橋   (ジュゼッペ・ボルサート) 

          石造りのリアルト橋は様々な国の多くの建築家たちの設計案が検討された後、
          17世紀初頭に建設された。

          この作品を描いた画家ジュゼッペ・ボルサートは、19世紀前半のヴェネツィアに
          おいてもっとも成功を収めた画家・装飾家の一人である。

 

 

         後半につづきます。

 


ヴェネチィア展

2011-10-08 07:46:48 | 美術館 博物館

                 「世界遺産ヴェネチィア~魅惑の芸術ー千年の都」
                 えど友開催の見どころ解説と特別観覧会に出かけた。

 

                

                   学芸員による解説はわかりやすく、興味深かった

 

 

       

                     二人の貴婦人   ヴィットーレ・カルパッチョ
  
       1490-95年の作品 誤解や無理解にさらされなっがらも、のちにルネッサンス期
       ヴェネチィア絵画の中でもっとも名高く・広く愛される絵の一つとなる。

       ヴェネチィア絵画史全体においても希有な作品の一つである。
       サンマルコ広場にあるコッレール美術館に展示されている中でもっとも有名である。

 

       

        ブロンドの髪に奇妙なかたちの小さな帽子をかぶった二人のヴェネツィア女性、
        物思いに沈んだ二人のまなざしは、絵の境界線の外にある何かを見つめている。

        
        この絵は長い間、幾分いかがわしい名声を享受してきた。 
        この絵を[コルティージャ(高級娼婦)たち]の名で呼び、客を待つ二人の売春婦を
        描いていたものだといわれていた。

        だが比較的最近になって、実は二人は身分の高い貴婦人であり、ラグーナ(潟)に
        面したテラスに座り、夫か恋人か、誰かの帰りを待っているところだということが
        明らかにされた。

 

              

            1944年ローマのある美術商のもとでこの絵が発見されたのです。

            7艘の細い手こぎ船によるラグーナの狩りの場面が描かれている
            この絵の左下に百合の花が見えるが、茎が途中で切れており、
            どこから生えているのかわからない。

            このラグーナの絵が二人に貴婦人を描いていたの途中で切れていた
            百合の茎とつながることが発見されたのは1963年のことでした。

 

              

               その後、科学的分析などにより、これら2枚の絵がもとは
               一つの作品であったことが確実に証明された。

               また500年以上が経過する中で様々な苦難(乱暴な切断)
               を経てきたにもかかわらず、保存状態は良好であった。

 

      

        この絵に描かれている動物、植物などすべて偶然そこに配された訳ではない

 

              

        <花瓶> 紋章入りの壺にユリが生けられているが、茎は途中で切れている、
               2点の絵が結びつく要因となった。

        <オレンジ>棚の上に置かれたオレンジ、途中で切れたユリは処女性と
                 夫婦愛を表す。

        <少年>欄干から顔をのぞかせている少年は婦人の子供たちだろうか?
              彼の前に置かれている赤いカルカニエッティは誰のものであろうか?

        <オウム>「しゃべる」ことができることから遠く離れた愛するものの名を
                繰り返ししゃべることができ、宗教的祈りの文句も唱えること
                ができるという。

        <犬> グレ-ハウンドとおぼしき犬が貴婦人と戯れている。
              顔と前足しか見えず、身体はもう一枚の絵にあるのか・・・。

 

               

       <貴婦人>15世紀末から16世紀初めに流行した華麗な衣装を身にまとった
               婦人。 長い間娼婦という説があった。
  
       <ギンバイカ>異教世界においてキリスト教世界においても婚姻関係を表す。

       <犬> チワワのような犬。 忠実さの象徴であり、夫婦関係の忠節を表す。

       <カード>犬の前足の押さえられたカードには画家の書名ー「ヴェネスト人
              ヴィットーレ・カルパッチョ」ーとある。もう一行は摩滅していて解読不能。

 

           この絵が表しているのは、夫婦愛、純潔、官能による誘惑への抵抗、
           結婚がもたらす成果への敬意、無秩序な情熱の制御である。

           これらすべてのことからはっきりわかるのは、この絵が(家具の扉であれ、
           衝立のパネルであれ、窓の内側の板戸であれ)夫婦の部屋のインテリアを
           なしていたということであり、それゆえ婚姻の(とりわけ妻の)美徳と長所と
           特色を想起し、これを称えるものだったということである。

           この絵がいかにして2枚に分割され、異なるコレクションの道をたどることに
           なったか、その経緯をたどるという課題がまだ残されている。
           確実にわかっているのは、18世紀後半にはすでにいた絵の切断が
           行われていたということである。     (図録より引用)

           まだ長い年月、多くの収集家や著名人の所有になったり、秘密裏に国外に
           持ち出されたりと、長い時を経て今回この絵を見ることができたのです。
           この絵の公開は東京のみとの学芸員の話でした。