・ ミュージカル映画はアメリカの誇り!
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ジーン・ケリーといえば、フレッド・アステアと並んでダンス・ミュージカル映画のスターだが、タキシード姿で華麗にタップを踏むF・アステアに対して、G・ケリーは肉体派でキャップが似合いそうなイメージがあったのは本作のせいか?
パリで画家として身を立てようとしていたジェリー(G・ケリー)は、ミロ(ニナ・キャロン)のバックアップを受けるが、酒場で出逢ったリズ(レスリー・キャロン)に一目惚れ。
リズには歌手のアンリ(ジュルジュ・ゲタリ)という婚約者がいるが、だんだんとジェリーに惹かれていく。ジェリーは皮肉にもピアニスト・アダムの紹介でアンリと友情を誓う間柄となっていた。
ガーシュインの<パリのアメリカ人>をバックにジャズとクラシックが融合し、タップとクラシック・バレエが画面いっぱいに繰り広げられる本作の魅力は、大画面で観るとさぞかし華麗でダイナミックに感じることだろうが、残念ながらその機会に恵まれていない。
ミュージカル音痴の筆者でも、ジェリーとアンリの「スワンダフル」は魅力的だし、ラストの20分弱のロートレックなど名画をバックに素敵な衣装で踊るG・ケリーとL・キャロンのダンス・シーンは圧巻!L・キャロンはG・ケリーに見出されこれがデビュー作。キュートだが美人ではないのに、G・ケリーと踊るシーンはまさに息がぴったり。
ガーシュイン好きにとっては、アダムに扮したオスカー・レヴァントが奏でるピアノや、指揮者になった幻想シーンなど見所が満載だ。
アカデミー作品・脚本・撮影など6部門を受賞しているが、G・ケリーは「羅生門」の黒澤明ともども名誉賞に止まっている。監督のヴィンセント・ミネリも受賞ならなかったが、後にL・キャロン主演による「恋の手ほどき」(58)で獲得している。
いま観るとストーリーが安易な気もするが、「雨に唄えば」(52)とともにG・ケリーのダンス・ミュージカル映画の代表作で、アメリカの誇りを感じる映画史に残る作品だ。