カリフォルニア徒然草 または武蔵国人覚書

ダンナの海外赴任のため、想定外のアメリカ暮らしを経験。
日常のふとした出来事を、心覚として綴っています。

信州最古の温泉を堪能

2013-01-06 20:54:58 | 日本でお出かけ
この年の瀬は、お休みの並びがよかったですね!♪
ウチは二人とも1月4日がお休みだったので、実に9連休
“GWもカレンダー通り”な会社に勤めるshimaushiにとっては、
入社以来、夏休み以外でこんなに長い休みは初めてです。

これはもう、旅行に行くっきゃない!ですよね~

海外で年越しなんてことも、ちょっと妄想したりしてみましたが、
さすがにお財布に負担がかかりすぎるので断念
代わりと言ってはナンですが、2013年初の温泉旅行に行って参りました。

冬は寒いし、雪が降ったりして移動が不便なことが多いですので、
観光は二の次にして温泉(ないし温泉宿)そのものを楽しもうというコンセプトで探し、
選んだのが別所温泉でした。

長野新幹線の上田駅から上田電鉄別所線に乗り換え。

のどかな田園地帯を走り抜けた終点が別所温泉駅

別所の温泉は昔から“七久里(七苦離)の湯”と呼ばれたといわれ、
平安時代の有名な和歌集や『枕草子』にもその名をとどめる信州最古の温泉です。
それだけに老舗旅館も多く、中には江戸時代創業なんてところもあるくらい。

今回我々がお泊りするのもそんな老舗旅館のひとつ。
旅館花屋さん。

上田市別所温泉169番地
TEL:(0268)38-3131
※ホームページ→こちら
大正6年創業。
山裾6,500坪の敷地に点在する当時の建物1,500坪。
自然林を中心とした中庭や、山野草園などを望める43室が渡り廊下で結ばれた、
ほぼ全館が登録有形文化財指定の宿です。
まず目に入るのが、豪壮で、
天高くそびえる様に建つ蔵。

蔵というより、お城の天守閣
みたいです。
天守には「鯱」
鬼瓦は花屋の家紋「桜」

凝ってますね~

紋の入った提灯がかかる、
重厚な門構え。

お正月ということで玄関には
立派な門松。
上り框から目をあげると
大きな獅子頭がお出迎え

湯婆(ゆばーば)かと思った…
別所温泉の宮大工がつくったというロビーには、クラッシック・モダンな家具や椅子が置かれ、ランプやシャンデリアの装飾が大正モダンの世界を演出しています。
窓からは、中庭の日本庭園を眺めることができます。


和風と西洋を取り込んだ、大正モダン独特の風情。
宮大工が手掛けた部屋の間取りが全て違うのだとか。
和と洋が入り混じったゆかしい電燈
隣の間に置かれた化粧台などの調度品もクラシック

この旅館、元は新潟県の上越市(旧高田市)に在った遊郭を移築したとかで、
華やいだ風格はその名残り。
中でも21番と23番のお部屋は、季節の草木や花々を写し取った華やかな「天井画」や、
見事な一刀彫の細工が施された「大黒柱」、漆と蒔絵が施された重厚な「床の間」、
別所の季節をデザインした「欄間」など、お部屋自体が文化財級なのですって。

さて、お風呂に入るにはまだ早い時間だったので、少し館内を探検してみましょう。

食堂です。
2階にあるんですが、中央に欅の柱が何本も立ち並び、小屋組みをあらわにして、ユニークな屋根裏空間を創り出しています。
古風なピアノ

その上には繊細な木彫りの装飾額が掛けられていました。

食堂内にはラウンジがあって、朝には食後のコーヒーを楽しむことができます。
クラシカルなデザインのランプ。

白熱灯の柔らかな光が、年月を経た木材に囲まれた空間を穏やかに照らし出す。


2階の廊下から湯屋が見えました。

窓からは湯気がもうもうと流れて出しています。

1階に下りてきました。
右手側、暖簾のかかっているのが大浴場、大理石風呂の入り口。

開放感を感じる、高く優雅なドーム型の天井。大正浪漫を感じさせる美しいステンドグラスで装飾された、大理石造りの内風呂です。

旅館花屋にはこの他にもう一つ、若草風呂という内湯があります。
湯ざめしにくい伊豆石(伊豆若草石)をふんだんに使っており、
ステンドグラスの装飾がモダンな感じ。
大きなガラス張りの窓からは、緑豊かなや木々を臨むことが出来ました。

更に旅館花屋には露天風呂もあります。(ちゃんと男湯と女湯と分かれてますよ
外湯なので、冬場は一旦内風呂で温まってから行った方がいいかも。。。
でもこちらは空気がきれいなので星空が見事ですから、夜ぜひ行ってみて欲しい!
ただし建物の外の通路を歩いていくため、夜は危ないので午後10時でクローズです。


総面積6,500坪という広大な敷地が広がる旅館花屋には、幾つもの建物が点在しています。
建物同士を結ぶのが、良質の「栂」を使った渡り廊下

鉤型に折れながら伸びる渡り廊下は、奥へ奥へと人々を導いて行きます。
池を眺め、庭を愛でながら回廊を渡るのは趣があります。
すべてが凍りつくほどの寒さの中、水車は休むことなく回り続けていました。


今回の我々のプランは“本館に泊ってお料理はちょっと贅沢!もちろんお部屋食”
宿泊は標準で、お食事は“離れ”に提供しているちょっと贅沢な会席料理「月見草コース」
地産地消をテーマとし、山の味覚の味をストレートに味わう正統派のコースの中に
料理長の新しいアイディアが光る、花屋自慢のオリジナル。
霜降りの信州牛は朴葉の上で焼き上げ、特製のほろ苦い蕗味噌でいただきます。

前菜、焼き物、煮物、鍋物、、、
山の素材がふんだんに使われ、いずれも素朴ながらひとひねりの効いたお料理たち。

どれも絶品でした
デザートも和と洋が見事にマッチング

たいへん美味しゅうございましたです。

朝食もお部屋出しでした。

新鮮な地場産の食材を使い、あっさりした味付け。
ややボリュームはありましたが、消化の良さそうな調理方法で食べやすく、見事完食いたしましたよ。



別所温泉はこじんまりした集落で、主な観光スポットは歩いて回れちゃいます。

真田昌幸が築いた上田城の南西に広がる塩田平は、鎌倉文化の栄華を偲ばせる寺社の塔や御堂が数多く点在しており、“信州の鎌倉”と呼ばれているそうです。
地元の人々の信仰を最も集めているのがこちら北向観音堂
この日も初詣の参拝客で賑わっていました。

825年の創建で、厄除け観音として有名だそうです。
名前の通り北向きで、南向きの長野の善光寺と向き合っていて、善光寺に参詣したら
北向観音にも参詣しないと、片参りになって願い事が叶わないんだって。
奥のお堂は崖にからせり出していて怖いよう
高台にあるので、境内からは塩田平の町が一望できます。



安楽寺は信州最古の禅寺。北向観音の別所として建立されました。
鎌倉時代中期の文献にその名が見え、その頃すでに相当の規模であったことが窺えます。
国宝八角三重塔は、本堂の裏の杉木立を登った山腹にあり、重厚な佇まいで鎮座しています。

四重に見えますが、三重塔で、一番下の初重は裳階なのだそうです。

石畳の遊歩道からは信濃平が一望できて、爽快

茅葺屋根が見事な常楽寺も、北向観音の別所三楽寺のひとつ。
境内にある“御船の松”は名前の通りまるで船のような形をしています。
本堂裏にある石造多宝塔は、北向観世音が出現したところだそうです。
高さ2m85cmの安山岩でできており、国の重要文化財に指定されています。


散策の後、出発までのひと時に腹ごしらえはそば久にて。
石臼挽きの手打そばはノド越し爽やか。
天然水でかつおダシをとり、かえしに天然醸造の正油や厳選された素材を使用したきれ味のよいつゆは、そばに合うやさしい味わい。
突出しのお漬物

箸休めにと注文したゆず味噌もイケました。
店内は民家を改造したような感じの作りで、日本庭園を眺めながらお蕎麦をいただくことができます。


そば久

上田市大字別所温泉1801-2
TEL:(0268)38-4524


観光のついでに温泉というのもいいけど、こんな温泉メインの旅も乙なものでした。


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