@暴力を振るう夫に対し灰皿スタンドで止めた事で夫は死亡する。不可抗力、正当防衛として届けることなく妻とその同性愛者は隠蔽することを選んでしまう。事件後のストーリーは罪の意識が捜査、裁判により、2転3転、最後まで心理判断と結末が読めないサスペンス小説だ。事故の隠蔽、そして嘘の証言、その事が一生涯、その事件に関し後悔を背負い、夢の中でも現生の中でも激しい葛藤に苦しむことになる。人は咄嗟の判断で間違いを犯す、だが、自衛心から自己保護を優先、時間経過と共に間違いを正すのを躊躇するようになり、それが唯一の判断だったと悟ようになる。
『愛はお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである』サン=テグジュペリ
『黄昏の彼女たち』(上巻)
第一次世界大戦で父と兄弟を喪い、母とふたりで生きていくため屋敷の部屋を貸すことにしたフランシス。下宿人になったのは、快活なレナードとおとなしいリリアンのバーバー夫妻だった。ひとつ屋根の下で暮らすうち、フランシスとリリアンには互いを想う感情が芽生えていく。そんな彼女たちの関係は、ある人物に死をもたらし、何人もの運命を思わぬ形で変えるのだった。時代に翻弄される女性たちを流麗に描く、傑作文芸ミステリ最新作
・バーバー夫妻の仲がこじれるにつれ、フランシスはリリアンと親しくなり、何でも話せる仲になる。ある時からフランシスはリリアンを女性というより恋人と意識するようになる。昔フランシスは女の友人と同性愛的な関係になり家族中を巻き込む不安をもたらした。フランシスはどちらかというとねちっこい男勝りのある性格で男性を恋仲にする性格ではなかった。
・やがて二人の中はレナードの隙を見て触れ合うようになり「愛」を昂らせ、フランシスは二人で一緒になりたいが為にリリアンに離婚を勧めた。だが、リリアンは先の不安を感じて一歩踏み出すことができなかった。
『黄昏の彼女たち』(下巻)
リリアンの妊娠という衝撃的な告白は、同性愛の仲に変化をもたらすなか、ある夜ついに悲劇は起きる。暴力を振るう夫を止めようと咄嗟の行動が人の死という結果をもたらした。
・その後二人の判断と選択行動は事故の隠蔽工作だった。夫を家の道端に放置し、家中の証拠を何事もなかったかのように焼失させ、綺麗に清掃することだった。
・事件後、警察が何度か聞き取り調査で、リリアンの夫は浮気をしており、友人リチャードが殺人容疑者として浮上、それとレナードは直前に保険金高額な500ポンド、受取人を妻リリアン一人にしていた。
・レナードの浮気からその相手は別の男性と婚約をしており、レナードを一度襲った事が判明、婚約者の男性はまだ19歳、だが不良少年でさまざまないざこざ事件を起こす悪だった。 その男性が容疑者として逮捕、裁判となるがどの証言も男性が不利な証拠しかなく誰ものが有罪と確信していた。
・最終裁判、陪審員からの判決は「無罪」、リリアンとフランシスはさまざまな葛藤の末、肩の荷が降りたかのようだったが、逆に一生警察、裁判所に出した嘘を背負って生きて行くことになった。
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