YAMAHAの新ドラムPHXの発売を記念して行われた
則竹裕之さんのドラムクリニックに行った。
則竹さんは、神保さんと並ぶ日本を代表するドラマーで、
かつてT-SQUAREに在籍していた有名ミュージシャンである。
ドラマーの中では、神保さん、則竹さん、手数王の菅沼孝三さんが
最も尊敬されるドラマーなんじゃないかな?!
今日のクリニックにも、熱心で勤勉なドラマーさんたちが集結していた。
こんな場所に僕がいてもいいのかな?!と冷や汗をかくほどに、
熱心なドラマーたちが学びに来ていた。
則竹さんのお話はとても面白く、すごく勉強になった。
ちょうど、そう、まさに明日僕のドラムが家に届くので、
僕も超熱心に則竹さんのお話を聴いてしまった。
最初は則竹さんのドラムプレイが行われた。
まず一つ一つの音を確かめるように、静かにやさしく叩いていた。
そして、徐々に音を重ね合わせ、どんどん複雑になっていった。
正直、2年目の僕には、何をどう叩いているのかなんて全然分からなかった。
あらゆるリズム~グルーブが複雑に重なりあっていて、
どこの部位がどのように動いているのかさえ、全く見えなかった・・・
(菅沼さんも神保さんも同じく、めちゃめちゃ複雑で難解だった)
で、演奏後にYAMAHAの人?との対談が始まった。
最初は新モデルのPHXの話題が出て、
それから、則竹さんのドラム哲学の話へと移っていった。
則竹さんが毎日、毎朝していることは、
「ドラマーとは何か」について考えることだ、と話していた。
で、ドラマーとは何かというと、
「自然の摂理と合一すること」
「宇宙の摂理と一体になること」
だと、則竹さんは話していた。
これが、ドラマーの究極の目的である、と。
この目的を達成するために、彼が日々思っているのは以下の五つのこと。
①やわらかくあること。
②無駄な力を抜くこと
③ダイナミックス
④音色(出している音が適正かどうか)
⑤フレーズ(いわゆる技・技術)
ドラムって打楽器なので、ともすると力を入れて叩くものだと思われているが、
彼によれば、ドラムはどこまでも力を抜くことが大事なんだとか。
ドラマーは叩きながらも、音を聴くことに力を使うべきだ、というのが、
則竹さんの持論だ。
つまり、叩きつつも、鳴っている音の全部を超越的な視点から、
しっかり聴くようにつとめなければならない、ということなのだろう。
(叩くことに力を注いでいたら、
全体がどう響いているかに目を向けることができない)
技や技術は一番最後だ、とちらりと彼は語っていた。
それよりも自分の身体作りや音そのものにこだわりを優先させていた。
ドラムの技術よりも、ドラマーとしての自分の在り方こそが問題なのだ、と。
また、彼の独自の理論として、
早いテンポの中に大きなスローさを感じること、
遅いテンポの中に細かい早いテンポさを感じること、
という視点があることを教えてくれた。
♪=60の中にある細かいきざみ、
♪=190の中にある大きなスロウなうねり、
そういう全体的なダイナミックスについても話してくれた。
(ドラマーとして、なんかピンとくる話だった)
また、右手と左足を♪=80で叩き、
左手と右足を♪=130で叩く、みたいな
リズムの輻輳性についても、実践を交えながら教えてくれた。
一つの音楽から一つのリズムだけを見ないことの大切さってことかな。
彼は「パルスで音を聴かない、ムードで聴くこと」と独自の言い回しをしていた。
そういう則竹さんの独自の音楽哲学を語ったあと、
質疑応答が行われた。(予めアンケート用紙に質問を記入していた)
一番多かったのが、日々の練習方法とチューニングの仕方だった。
これは、どちらも僕にとって大きな助言となった。
特にチューニングの話はすごく参考になった。
あんまり細かいことに囚われず、自由にいろいろと試行錯誤しながら、
自分のいい音を見つけ出すことが大切だ、と話してくれた。
あと、色んなミュージシャンとセッションする上でどんなことに注意しているか、
という話の中で出てきた「挨拶」の話が印象的だった。
則竹さんは日々色んなミュージシャンの人と音を合わせているが、
その中で大切なことはコミュニケーションだと言う。
「最初に、「おはようございます」をしっかり言いますね。
長いこと、色んなミュージシャンとやってきましたが、
挨拶をしないミュージシャンの人とは会ったことがないですね」
やはり、一流の人間はしっかり挨拶ができている、と。
そんなこんなで深くて内容の濃い2時間があっという間に過ぎていった。
則竹さんの独自のドラム哲学談義、すごく面白かった。
正直、どこまで理解できているのか、ちょっと怪しいが、
それでも、彼のスタイル、彼の考え方は心にぐっときた。
僕もどこまでやれるかは分からないけど、
ドラムという楽器をこれから末永く楽しくやっていきたいと思う。
ギターで果たせなかった夢をドラムで叶えられたら、と願いつつ。
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