Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

富田食堂が高品交差点に登場した今【ヒイラギ食堂】はどうこの地で戦っていくべきか?『背脂煮干しラーメン』を食べながら考える。千葉家のことも…

2023年3月28日に、松戸中華そば富田食堂が新規オープンしました。

松戸中華そば富田食堂東千葉店のレポはこちら

高品交差点エリアが今、「千葉ラーメン激戦区」になりつつあります。

高品交差点エリアに来たとなれば、

支那そばヒイラギ食堂

に行くしかないでしょう!

少し久々の再訪となります。

前回のレポはこちら

実に3か月ぶりのヒイラギ食堂です!

徒歩数分のところに「杉田家」と「富田食堂」がある状況になったヒイラギ食堂。

ヒイラギ食堂を応援する身としては、もう心配で心配で、、、💦

杉田家は、無敵の家系ラーメンの勢力の中心的存在。

富田食堂は、日本一の超ウルトラ人気店の姉妹店。

言うなれば、ラーメン界の「Google」と「Apple」みたいなもの?!

更に、少し行ったところには、同じ背脂を使った「魁力屋」もあるわけです。魁力屋は、上の例で言うなれば、「Huawei」か?!(関西で超人気のラーメンチェーン店)。更に反対に行けば、杉田家と同じく千葉で人気の「武蔵家」もあるわけですね。武蔵家は、言うなれば、「Facebook(Meta社)」?!

そんなGAFAMレベルの超モンスター的ラーメンの系列店たちが高品交差点に集まる今、小さな小さな個人店であるヒイラギ食堂は、どう立ち向かっていけばいいのか。どう戦っていけばいいのか。どう抗っていけばいいのか。

(要らぬ心配&大きなお世話かもしれないけど、、、でも、これは、この高品交差点エリアに限った話ではなくて、全国、全世界で起こっていることの一つのケースになると思うので、、、)

これは、本を書く僕としては、僕が(小さな出版社から出している)本を売っている隣りで、岩波書店の人と、講談社の人が本を売っている状態みたいな感じに見えるんです。岩波と講談社にどう抗えばいい?! …って考えると、この高品交差点の戦いは、普遍的な意味合いがあるぞ、と。

さて、、、

こちらが、今のヒイラギ食堂の主なラインナップです。

12月とメニュー表ががらりと変わっていますね。

基本的には、

①支那そば(醤油・塩)
②ギタギタ背脂らーめん&ニンニク背脂らーめん、
③まぜそば各種

のスリートップですね。

この三つの中で、他店と差異化できるのは、③のみか?!

杉田家や富田食堂や魁力屋にはないメニューとしては、③のまぜそばのみ。

やはりまぜそばがここの(ここでしかない)「売り」になるのかな?!

「家系にする?(二店舗あり) 濃厚つけ麺にする(つけ麺の王者)? 京都背脂にする(このエリアのオルタナ系)? まぜそば(ヒイラギ食堂)にする?(はたまた、昭和の雰囲気漂う「中華ガキ大将」にする?)」

高品交差点エリアでは、こういう会話が出てしまうのです。

特にこの界隈は、車社会なので、ちょっと車を走らせたら、鶏白湯の名店「せん吉」があり、無敵の家系風チェーン店「山岡家」があり、牧歌的な「ラーメンショップみつわ台店」があり、G系の「だるま」があり…

そんな中で、このお店の強みとなるのが、、、

この「店主の気まぐれ限定」、、、かもしれません。

他店は、チェーン店やフランチャイズ店や姉妹店なので、「限定」には弱い?!

となれば、個人店の強みとなるのが、この「気まぐれ限定」になるのかもしれない。

巨大組織の弱みは、なんといっても「自由さ」や「臨機応変」だと思います。

その点、小さな個人店なら、自由に奔放に臨機応変に対応できます。

この日出ていたの気まぐれ限定は二種。

①背脂煮干しらぁめん(950円)

勝浦タンタンメン風(900円)

です。

お値段的には、富田食堂と変わらず…。

杉田家のラーメン(並)も今は800円(直近のらんちばさん記事によると)。

価格的には、どこもそんなに変わらないかな…?!

(それに、巨大組織系は資本を持っているので、かなり安く設定してきますし、それに個人店が乗っかってしまうと、個人店が負けてしまうのもまた、経済論の典型パターン…)

この高品交差点エリアは、「激安チェーン店」がほぼないので、そういう意味では、ヒイラギ食堂も決して戦いにくくはない、のかもしれません。ラーメンの質(味)を、コスパ(価格)以上に求める人にとっては、このエリアは、恵まれた悩ましい(=選択肢の多い)ラーメン激戦区となりそうです。

今回は、僕の大好きな「背脂煮干しラーメン」を食べながら、この「高品交差点ラーメン現象」について考えていきたいと思います!

ジャジャーン!!!

こちらが、ヒイラギ食堂の気まぐれ限定、

背脂煮干しらぁめん

です!!

うん、これはすごいヴィジュアルのラーメンだ。

ぷかぷかと浮かぶ玉状の背脂に、たっぷりのネギと玉ねぎ。

そして、立派なチャーシュー二枚に海苔がついています。

これだけを見れば、このラーメンが他の競合店に劣っていないことが窺えます。

それに、他店ではこの「背脂煮干し」は食べられません!!

モンスター級の有名ラーメン店に負けない魅力をもつ限定ラーメンですよ。

zoom up!

スープを一口飲むと、、、

うおおお!! これぞ、これぞ、背脂煮干し味のラーメンだ!!!

って、叫びたくなりました。

燕三条系を彷彿とさせるか否かは別にして(苦笑)、これは美味しいです🤤

家系でも濃厚豚骨魚介系でもない、背脂煮干し味のラーメン。

しかも、これだけ具がいっぱいで、他店と変わらない950円設定(差額的には±150円レベル)。

「うまいラーメン」を求めるお客さんのニーズにはしっかり応えられる…はずです。

いや、ホント、これ、旨いんです😊

背脂は、なりたけ系の味わいではなく、むしろ「具として食べる背脂」みたいな?!

スープ自体もあっさりしていて、「こってり感のあるライトな背脂煮干しスープ」なんです。

なので、どんな層の人にも美味しく食べて頂ける味わいにはなっているんです。

麺だって、他店に負けないレベルの麺を使っています。

京都の老舗の人気製麺所「麺屋棣鄂」の麺ですからね。

杉田家が「酒井製麺」の麺で、富田食堂が自社「心の味食品」の麺。

で、ヒイラギ食堂が「麺屋棣鄂」の麺。

うん、決して劣った麺を使っているわけじゃない。

スープだって、麺だって、他店と互角以上にはり合えるレベルのラーメンですよ。

ぷるぷるっとした「わしわし食べるタイプ」の麺になっていて、ホント美味しいんです。

チャーシューだって、ここのは「梨の花」ゆずりの「絶品チャーシュー」です。

富田食堂のチャーシューも美味しかったですが、ここのも決して負けない。

杉田家のチャーシューは、燻製にしていて独特ですが、大きな違いがあるわけではない(杉田家もラーメン並で、チャーシュー二枚入っていますね)。

海苔も、今の時代、ケチるお店がすごく多いですが、この気まぐれ限定でもちゃんと1枚(四分の一)入っています。(杉田家はデフォで4枚なので、ちょっとここは負けちゃうかも…)

気づけば、あっという間に「完飲完食」!!

すっごく美味しい「背脂煮干しラーメン」でした。

これだけ美味しいラーメンを「限定」で出せるのもまた、個人店の強みかもしれません。

ホント、美味しかった…。

けど、、、やっぱり、それでも心配になってしまう自分がいます(余計なお世話ですが…)。

ぶっちゃけ、「味」だけで言うなら、このラーメンも、家系や濃厚豚骨魚介に負けてないんです。それに、言い方はあれですが、「家系」も「濃厚豚骨魚介系」も、高品じゃなくたって、食べられますし、どこに行っても、その系統のラーメンならあるんです。

ヒイラギ食堂のラーメンは、どのラーメンも、ここでなきゃ食べられないんです。クセの強かった「梨の花」という千葉の人気店(笑)の味を受け継ぎながら、独自に進化していっているヒイラギ食堂。

王道で定番で人気の「コピー品」を食べるか、他にはないアウラ漂う「オリジナル品」を食べるか。

結局は、(ベンヤミンがかつて分析した)「コピー」と「オリジナル」という問題に着地しそうな気がしてきました。大手の本屋さんが出す本って、結局はどこかの誰かが言っていることの焼き回しでしかない。クセのある個性的なオリジナリティーのある本は出してこないわけです。売れるかどうかが大事なので、リスクのある個性的な本は回避します。

とすれば、個人店でできることは、リスクのある(=遊びのある)個性的なラーメンで勝負するしかない(勝負することができる)、ということになりそうです。

おそらくは、杉田家も富田食堂も(はたまた武蔵家も魁力屋も)リスクのある(遊び心に溢れた)ラーメンは出してこないはずです。リスクのないラーメンで勝負しようとすれば、杉田家や富田食堂に根こそぎ客を奪われてしまうことでしょう。(この二店舗は、そもそも最もリスクの少ないラーメンを出しているわけですから…)

あとは、食べ手である僕らの方が問われてくるわけです。

「家系、うまいじゃん」「とみ田の濃厚つけ麺、最高じゃん」って言っている人が多ければ多いほど、ラーメン全体における「多様性」が失われ、どこもかしこも同じような、変わり映えのない、リスクのない、遊び心のない、ただ食べて「旨さ」という快楽を楽しむためだけのラーメン界になってしまいます。(もう、そこには「発展」はありません。家系やとみ田系で感じるあの「旨さという快楽」を無限再生するだけです)

「うまい」という漢字には、「旨い」と「美味い」があり、後者の「美味い」というのは、「美」という言葉が使用されています。どこのラーメン店が最も「美的に美味しいか」、と問える人が増えれば増えるほど、ヒイラギ食堂の支持は広がっていくし、逆に、ただただ「旨さ」を求める人が増えれば増えるほど、ヒイラギ食堂の立場は揺らいでいくことでしょう(使っている材料の量や味的な快楽性では、家系やとみ田系には勝てない…)

美という現象の経験は、「一回性」が重要になってきます。「これまで経験したことのない味」「どこでも触れたことのない味」に出会った時に受ける衝撃や驚きにこそ、経験的な美の本質があります。

そこをしっかりと大事にする人が増えない限り、高品交差点エリアのラーメン戦争の結果は変わらないんだろうな、とも思います。

にわかな家系ラーメン好きの人には申し訳ないですが、「家系最高~」「清水さん、神~」とかと騒いでいる人たちが増えすぎたからこそ、金太郎飴のようなにわか家系ラーメン店が跋扈しちゃったんです。(かつての家系ラーメンもどき(味的にもニセモノの家系を名乗る酷いラーメン店)は駆逐できたと思いますが、今度は、どこもかしこも「(ハイレベルなんだけど)同じ味」になっちゃいました。

また、今話題になっている「千葉家騒動」も、同じ構図を持っていると思います。にわかな(且つSNS等で千葉家のラーメンを手放しで絶賛する)ラーメン好きの人たちが大騒ぎして、キャパを超える人たちが連日千葉家に集まったからこそ、キャパオーバーして、休業状態になったんだと思います。

千葉家の例の一件についての千葉日報の記事はこちら

故に、僕は昨年から「(家系ラーメンが好きだからこその)家系ラーメンボイコット」を続けています。誰にも理解されていませんが(苦笑)、千葉家の閉店宣言~休業宣言も、ある程度は予測していました。俗物的&大衆的なにわかラーメン好きが殺到することで、お店自体が追い込まれていったんです。(もともと、突然「休業宣言」をするお店でもありましたし…)

家系ラーメン(特に柏王道家)をもちあげて、担ぎ上げて、うまいうまいと絶賛して、大騒ぎした人たちが、そしてその人たちの煽りにのって群がった人たちが、千葉家を追い詰めていったんです。(おそらくご本人たちはそうは言わないと思いますが…)

僕はそれこそ20年以上前から「千葉家」も大好きでした。と同時に、千葉家の店主さん(というより奥様)のことが(ホントに)心配でした。「大丈夫かな…」って。だから、大好きな千葉家にも行くのをやめてました。いつかこのアホみたいな家系ブームが去ったら、そっと食べに行こうって…。本当に本当に昔から変わらず素敵ないいお店だったから。

何が言いたいかというと、「食べる側ももっと賢くなってください」ということです(偉そうな言い方で申し訳ないですけど、ラーメン界のレベルを上げるのも下げるのも、食べ手側の知性や感性に関わっているので、お許しを)。

かつて、濃厚豚骨魚介系が大ブームになった時、僕は「またお前もか系」と揶揄して批判的にこのブームを批判しました。一昨年、柏王道家の清水さんがYouTubeを始めて、家系再ブームになった頃には、「家系ラーメンボイコット」をして、批判ではなく、「食べない」という抵抗運動をしました。

濃厚豚骨魚介系も家系ラーメンも心底大好きな僕なのに、なんでこんな面倒くさいことをするのか(し続けてきたのか)。

千葉家の騒動でもう分かると思います。

ブームに流されて千葉家に殺到した(自己批判をしない)客たちと同じになってはいけない、と思ったからです。好きだけど、拒否する。好きだから、ボイコットする。そういうことも時にはしなきゃいけないんです。

話は少し変わりますが、僕は主観的には「マスク」が大好きなんです。カッコよく見えるから、マスクが決して嫌いなわけじゃない。でも、この3年間、マスクをずっと一環して批判してきた。それは、「表情のみえない世界」「笑顔の見えない世界」が恐ろし過ぎるから。だから、ずっと「NO!」と言い続けてきたし、できる限り外す努力をしてきました。

人と同じことをしない、ということの大切さを改めて、今回このヒイラギ食堂で感じました。人と同じラーメンを美味しいと言わない。人が食べているラーメンと同じものを求めない。有名インフルエンサーの「美味しい」に惑わされない、つまりは、自分の舌で判断する。

つまりは、「自律的に生きる」ということ。

それは、ラーメン店を営む人にもつながる話だと思います。(ね、あつし!)

今のヒイラギ食堂には、この素晴らしい春巻きもあります。

ここの春巻きもまた、唯一無二のオリジナルな春巻きになっています。

お酢とカラシで食べる春巻き、ホントに美味しかったです!!!😂

こういう手作り感のある存在感たっぷりの春巻き、他店にはだせまい!!🔥

次来たら、このミニ丼も食べるぞ~~~。

この日はもうお腹一杯…💦

ヒイラギ食堂もインスタやってます!!

是非是非チェックしてみてください!!

今回は、ヒイラギ食堂の実食レポ、というよりは、、、

ヒイラギ食堂から、高品交差点から、今のラーメン界が抱えている問題を色々と論じてみました。

ラーメンが純粋に好きで、ラーメンをいろいろ食べ歩いて、SNS等で発信している人には、不快に感じる部分もあったかと思いますが、この記事は思い付きで書いているわけではなくて、ずっと思っていたことを綴りました。

特に「インフルエンサー」と言われるような情報発信者の人たち(YouTube動画等を発信するラーメン店主さん含む)は、もっと自制的に、もっと自律的に、ラーメンを評価したり、語ったり、紹介してもらいたいものです。

あなたたちがどこかのお店を絶賛することで、(いいことだけでない)多大な影響が出ているんですよ、と。

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