散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

ORGAN²/ASLSP-世界で一番長い曲

2008-07-08 19:02:20 | 思考錯誤
John・Cageの作品ORGAN²/ASLSPは世界で一番長い曲であり、2001年に演奏開始され演奏終了までに639年かかるというものだ。ASLSPは”as slow as possible”の省略である。
Halberstadt市にあるSankt-Burchardi教会(リンク1)で途切れなく演奏されている。
実は演奏というより"音”としか言い様がない。現場で一度に聴ける和音は一つ。まだ未完成の楽器は演奏の進行と共に出来上がり2009年に完成予定で、錘でオルガンのキーを固定して次の変更日まで"音”は延々と鳴り響くわけだ。

先日7月5日に第六番目の音の変更儀式が市長の手によって執り行なわれた。音の変更が終わると集まった聴視者達から拍手が湧き上がった。これはすでに儀式のようなものだ。
変化の早い現在社会への批判であるとか、時間のゆっくりとした流れを意識して欲しいというのがケージの提案の一つらしい。
上手く遂行されるならこの作品を最初から最後まで聞聴き続けるのは"教会の壁”だけということか。
誰もいない時間に鳴り響く音を想像すると少し背筋がゾクリと来る。
音だけ聴いても理解は難しい。。インターネットで現在の音を聞くことは出来るが(リンク2)5分も聞いていたら頭痛がすることだろうし、ましてや私の場合先日抜歯した傷が疼くってものだ。
しかし、ゆったりとした流れ、急がずに。。。というメッセージが私に聞き取れるかどうか実際出向いて確かめて見たいと思う。
お前の存在なんてこの宇宙的時間の中でとるに足らない小さなものだ。。。という風に聴いてしまう気もしている。
音楽は私達を在る所から在る所へと連れて行く乗り物のようだと何時も思い描いているが、この一音は果たしてどんな効果をもたらすのだろう?





アナベルの大きな花球が大風に折れてしまった。ちょうど最後のTeasing Georgiaと一緒に瓶にさした。アナベルを一つ活けて見るたび昔のひらひらした女性水泳帽を思い浮かべる。

ということで"上品なおばあさんがひらひらとしたアナベルのような水泳帽を被って、そこにあった薔薇の花を手折って耳元に挿したの図。”



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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ケージは (LE)
2008-07-09 02:22:36
色々な事を思いつくねぇ~。

リンクをありがとうございました。どう聞いてもオルガンというより、事故にあって誰かが倒れ込んだ車のクラクションみたいにしか聞こえないけど。(笑)

この教会の中では、サービスはないの?サービスの間中、この、びぇ~を聞くのかなぁ。。。。
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これは又永い (mamaさん)
2008-07-09 04:29:05
ガウディのサグラダ・ファミリアといい勝負ですね?息の長い話。
誰も全編聴くことのできない音楽ってのも。。。
639年もしたら人類はどうなってるんだろう?
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またきっと忘れてしまう (pfaelzerwein)
2008-07-09 05:31:47
このプロジェクトの関してはBLOGで教えて貰ったのですが、そのBLOG自体が行方不明になっていまして、今回の催し物にも参加出来ませんでした。

次回はきっとと思うのですが、またきっと忘れてしまうでしょう。そうした営みも永遠に繰り返されるのです。自動的に教えて貰うメールサーヴィスなどを探してみます。
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LEさんへ (seedsbook)
2008-07-09 14:29:00
色々考えるものです。
ちょっとそんなこと思いついたというひとがいたとしても、それを実行して人を動かせるというところまでは行かないのが普通。火曜日から日曜日まで教会開いているから、いつでも"音"だけは聴けます。
なかなか良いところだから、行きたいって思っている。
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Mamaさんへ (Seedsbook)
2008-07-09 14:40:57
ね、演奏終わりの瞬間、どんな状況になっているのしょうね?興味あります。
街の住民はなんだか期待はずれであきれているって話ですが、面白いと思う。
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pfaelzerwein さんへ (Seedsbook)
2008-07-09 14:50:34
そういうメールサーヴィスありそうですね。
次は11月5日ですよ。いかがですか?
この街のDOMのオルガンは文書に出てくる一番古いものだそうですね?
(1361年製造。。。だから2000年に演奏開始で2000年引く1361年で639年だとか。。。pfaelzerweinさんはご存知でしたでしょう。。。)
ちょっと覗きに行ってみたいものです。
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面白く、コワイ。 (Baroncia)
2008-07-09 17:10:38
639年間を要する演奏は、人間は誰も聞き続けることができないわけだから、全てを聴けるのは至上の存在だけ・・・。

そういう意味で教会で執り行われているのは
もっとも納得がいくけれど。

面白いけど、コワイ。

ずっと鳴り続ける一つの和音。

先程リンクで聞いてみたけれど
誰かがふざけて揺さぶり、放置された車の鳴らす
警笛が遠くから聞こえてくるような錯覚を覚えました。

私もいつか行ってみて
自分の体でその空間に分け入ってみたいですが・・・
やはり、コワイかな・・・。どうでしょう 笑
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Baronciaさんへ (Seedsbook)
2008-07-09 22:36:03
何故コワイと思わせるのでしょうか?
多分、これがメロディーのあるものであればまた違った印象があるでしょうか。

私達、人間の感性感覚に把握しがたいテンポです。
それがコワイと思わせる原因なのかも知れないと思いました。
理解できないもの把握できないものへの理由なき恐怖って奴でしょうか?

でもコワイ物見たさ体験したさで行って見たいでしょう?

私もそのうち行ってみたいと思います。
Baronciaさんが体験なさったあとどんな感想が出てくるのか興味あります。(笑)

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すご~い (岡花見)
2008-07-09 22:44:47
ゆったりとした流れという割には、
たしかに頭も痛くなりそうな音。
でも、興味をそそられるわぁ。
その教会が存在し続ける限り、
終わりの瞬間が来るんだよね。
最後の音は、いったい誰が聞くのだろうか?
街の人たちはあきれかえっている、っていうのがとってもリアル。
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岡花見さんへ (Seedsbook)
2008-07-09 22:52:03
早過ぎるテンポで走っている社会への批判だといわれても、この音を聴かされていたらのんびり出来ないかなあ。。。
極度に回転速度を落としたテープみたいな物。
この曲はコンピュータの偶然選択で作ったものらしいです。
確か元はピアノ曲で30分くらいの曲として発表されたこともあるらしい。
街の人たちは違うものを想像していたらしく、こんなはずじゃなかった。。。といっているらしい。そういうことをひっくるめて面白いと思います。お話が書けそうだよね。
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