
冬の空気はシャープだ。
先週は冬だった。シャキッとした空気。
今日の空気は生ぬるい。
ほんわりと暖か、と言う感じではなく脂肪分がぽってりついた感じで重たい。
なんだか融けて変形してゆく蝋燭のようにグチャグチャした空気が鬱陶しいので、髪を切った。
ジョキンときっちりそろえた前髪をみていたら、子供の頃を思い出した。
あの当時おかっぱ頭が沢山並んでいた。
幼稚園から帰ってある日私は、あまりに前髪が鬱陶しくて大きな裁ちばさみを探し出し、ジョキリジョキリと切った。しかしそうそううまく切れないものだ。前髪は次第に短くなってとうとう生え際辺りまでなくなってしまった。
それでも私はすっきりした額に全く満足していた記憶がある。
三つ子の魂は健在で今でも時々発作的に前髪をジョギリジョギリと切りたくなって切る。
この数日、日が駆け足で伸びてゆく。どういうものかいきなりそれに気付く日があるのだ。
明るくなった。
スノードロップとクリスマスローズが咲いている。
ローズマリーの花も満開だ。
去年の暖かさで今日まで葉の落ちないでいるアケビを良く見れば、なんと花の蕾が沢山顔を覗かせている。
葉が落ちないというのも変だがもう蕾が出ているというのも普通ではない。
蕾はまだ色づいているわけではないけれど、それにしても早すぎだ。
寒いのは嫌いな私でも、この中途半端な空気はしゃっきりとしなくて気持ちが悪い。複雑なものだ。