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散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

花も団子も勝ち得た日

2005-04-15 17:02:40 | 美術関係
雲が厚い。臨界点をこえて、たまにぽつぽつりと雨がおちる。
綿飴を引き裂いたような、スーッと薄くなった空の一角から、やっと太陽の光が差し込んで来たと思った途端、気温が刻々上昇してゆくのが肌身で感じられる。

そういういつもの4月の空の木曜日。友人とボットロップという街にある美術館に向かった。

珍しく、風景画に重点を置いたモランディの展覧会だった。
色調の抑えられた無音に近い画面だがしばらく眺めていると、ささやくような話が聞こえるように感じた。よく耳をそばだてなければ聞こえないが、時にはブツブツといっている。
亡くなる寸前まで一つの形を繰り返し追求し続けた頑固さと、さりげないセンスの良さにあらためて感銘を受けた。
晩年の“侘び、さび”の域に達した静物画や水彩画は、その線や色面の軽量感の奥にそれまでの積み重ねの重さがみえる。
印象派、特にセザンヌを研究し立体派に影響をうけたというモランディだが、イタリアはボローニャから出る事も無く、独自のスタイルを突き詰め続けた姿がそのまま作品に現れていた。

モランディ展の後、帰路からそう外れない道筋のオーバーハウゼンという街に立ち寄る。
もう一つの気になる展覧会を見るためだった。

„Die Wunder der Natur“≪自然の驚異≫というテーマで、
カール ブロスフェルドの写真に対比し、ケルン大聖堂の古い装飾的柱頭、中世の植物辞典の絵、植物の化石、衣装の柄など、様々な類似形態を引っ張りだして並べたもので、地味ながらとても興味深い展示だ。
対象物がもう少し広がったらもっと楽しい展覧会に発展すのではないか?と思ったが、もう一つ考えると、それでは展覧会のポイントが見えにくくなるのかもしれない。

それはともかく、まず会場の入り口には、子供たちがブロスフェルドの写真のイメージから描いた沢山のドローイングが掲示されて、それがまたなんとも元気よくすばらしい作品で楽しい。

それにしても、ブロスフェルドはどうしてこんなに硬質感をだすことができたのだろう?彼の手にかかると植物は、ブロンズ彫刻と化してしまう。錬金術師のようだなんて思ってしまう。
ブロスフェルド自身は何を思ったのだろうか?

友人と私は、大いに満足しつつ帰路についた。

最後に美味しいアイスクリームを作る店に立ち寄り、3個玉を食べながら、さらに本日の満足感をみたしたのは言うまでも無い。
花も団子も両方手に入れたという幕。
ちなみに私の選択はカラメル、メロン、カフェマキアートアイス。美味