ガーベラ・ダイアリー

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本の内容は基本的にネタバレです。気をつけてお読みください。

辻井南青紀 著 「小説 蟲師」 講談社(KCノベルス) 

2007-10-11 | こんな本読みました

本書は、劇場公開映画「蟲師」(原作/漆原友紀、監督・脚本/大友克洋、脚本/村井さだゆき)を基にノベルス化したものである。

漫画「蟲師」をもとに映画が製作されたのだと思うが、その大元の漫画を読んでいない(汗)。
……ので、それとの比較は全くできないし、映画も残念ながら観ていない。

この本だけで、「蟲師」を語るにはあまりにも片手落ちだと思う。
ので、ひとこと感想を。。。

まず、「蟲師」という発想がおもしろかった。

「虫を寄せる体質」をもち、それはたいてい「よくないことが起こる」。だからひとところにい続けられず、とにかく歩かねばならない。行かねばならない。
「蟲師」とは、蟲を退治・殺生するためにいるのではない。逃れる知恵のあるほうが逃れる術を探し求めてきたものたちをいう。

「トコヤミ」というものの存在。焦げたように黒い沼。たくさんの命を吸い込んで、それそのものが生きているという闇。常闇。そして、そのトコヤミに寄生する別の蟲がいるという。それを銀蠱(ぎんこ)という。

また、淡幽(たんゆう)の存在。彼女は、自分の身に禁種の蟲を封じた狩房家第四代筆記者。右足に棲む禁種の蟲を鎮めておく薬が、蟲師たちの語る蟲の話だという。それを彼女は書き写す。

淡幽が激痛に耐え、痙攣している様が印象に残った。

<ー淡幽さまの文字が……!
書棚から落ちて紐がゆるんだ隙間から、筆づかいも鮮やかな淡幽の筆致が、無数の足をカリカリと動かして床に這い出た。文字のはねやはらいの部分が触覚のようにうごめく。床から壁へ流れ出し、壁一面に鎖状の文様が広がった。>

おそらくここの部分を映像化したものだと思うのだが、口絵の写真がイメージを広げてくれた。古文書などの文字が這う……想像しただけでぞっとするが、この部分のアイディアがよかった。

また、本の題字を書家の石川九揚氏が書かれているのだが、蟲がのったくったような字でとても面白かった。

本書は、漫画もしくは映画などの視覚にうったえるものがあってこそ真に楽しめるものかもしれない。。。と思った。

 


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