本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

図書館で借りました:7

2006年09月07日 | 

また、児童本の感想です。(いまや図書館でしか読めない本も含む)
ネットがうまくつながらない中、一生懸命記事を書いてたら、
なんと自分から画面を消してしまいました…。わーん!
仕方が無いので書き直しています。前後ちぐはぐだったらごめん。

『トムの塔』ジャネット・マクネイル 学研 S.45
学校で反省文を書かされていたトムは、
突然現れた古めかしい騎兵に外へ連れ出される。
トムが城にある宝物の守護者のひとりに任ぜられたのだという。
他に守護者として選ばれた仙人と魔女と共に城へ行くと、
権威ある役職のはずなのに、夜は塔の部屋に軟禁されてしまう。
その間に中庭の銅像が一つ二つと増えていく。
どうやら城内で宝物を奪う陰謀が進んでいるらしい…。

子供の頃、地元の図書館でよく見かけた本。
多分読んだけど内容はすっかり忘却の彼方。
題名だけは覚えていたので、今回借りてみる。

異世界で活躍する普通っ子トム君の冒険、面白かったですよ。
その国の現状維持の規則などは、風刺が効いていました。
登場人物の中では、助言者のウミヘビや、
守護者仲間の気難しい仙人も良かったですが、、
だらしない魔女のピーチ嬢が奇妙な魅力を持っています。
もっと活躍してほしかったなー。
(彼女について来る子供たちの存在が不思議。
分身?使い魔?幽霊?よく分からなかった…)

『ムンジャクンジュは毛虫じゃない』岡田淳 偕成社 1993
良枝がクロヤマで見つけた珍しいクロヤマソウの花畑は、
秘密を打ち明けた稔と克彦が口を滑らしたせいで、
町の人々に見る影もなく荒らされてしまった。
責任を感じた三人は、クロヤマソウしか食べない謎の生物
“ムンジャクンジュ”を、協力してひそかに育てることにする。

“園芸好き”を自称しながら野山で採取してはいけない植物を
こっそり持って帰ってしまう御仁に、ぜひ読んでもらいたい話。
物語は奇想天外な魅力があって楽しいのですが、
同時に自然に対する人間の軽率さを考えさせられるのです。

後先考えずに欲しいものを手に入れるだけの
浅ましい大人の姿には、うなだれるばかりですが、
(特に、山でごっそりクロヤマソウを採ってきて
店先に並べる花屋はひどい…
山のものを勝手に持ち出した償いをしようと、
団結してムンジャクンジュを育てようとする
子供たちの爽やかさが救いになります。

自分も矛盾に満ちた大人世界で生きている訳ですが、
どうせなら川村先生のように、公平に物事を見れるといいな。

『シェフィールドを発つ日』バーリー・ドハーティ 福武書店 1990
留学のためにしばらく鉄鋼業の町を離れることになったジェス。
旅立ちの前夜、祝いの席に集う家族の
それぞれの人生の思い出が彼女に託される。
祖父母たちのなれ初めや、鬱屈した父の青春時代のこと、
若くして死んだ兄ダニイを悼む気持ち、
二番目の兄ジョンが抱えていた孤独、
そしてジェス自身の恋のこと…。

家族の個人的な逸話集、といった連作短編は嫌いでは無いです。
なかには粘着質に、時代背景や
登場人物の心理を書き込む作家もいるけれど、
この作品はさりげなく当時の状況を織り交ぜる程度で、
町の雰囲気を伝えながらも、瑞々しい感じがします。
聞き手であり、語り手でもあるジェスの若さのためかもしれません。
(過剰に描きすぎない国民性もあるのかな?
わたし、『渡る世間は鬼ばかり』風の作品は苦手で、
そんな苦労話フィクションでまで聞きたくないとか思っちゃうんだけど、
これは駆け落ち同然の結婚や家族のすれ違いを描いても
重過ぎないの。“情”の部分をうまく抑えてるんだろうな)

これが好き、という訳ではなく、ある意味心に残ったのは
『十七歳の影』という章。(以下、ネタバレです↓

父方の祖父の知り合いであるデイビイ老人に、
二人きりの場面で突然キスを迫られたジェスが、
半泣きで突き飛ばして逃げたら、
モテナイ君だった昔を思い出したデイビイは
少しおかしくなってしまった、という話なんですが…。


デイビイをなだめたあとで父方のお祖父さんが、
ジェスの親友ケイティのことを例に出して、
(優しいケイティは、若い人ばかりのパーティで気後れしていた、
やもめになったばかりのジェスの母方のお祖父さんに、
ぎゅっと抱きついて元気づけたそう)
“ケイティだったら、デイビイじいさんをどう扱っただろうな”
と言うのです。

ジェスは愛について深く考えたらしいですが、
わたしは老若での考え方の違いにぐっと胸をつかれました。
だって、ジェスの潔癖さにすごく共感しちゃったんだもん…。
普通、お祖父さんのいないところで、目上の者に
妙な真似をされたら、女の子は怖くなるもんだと思うのです。
(まあ、ジェスは女扱いされたことを恐れたと言うより、
まず老いに対する嫌悪を感じてしまったんでしょうけれど)

大人が大人らしい態度をとらない場合、
頭から拒絶されても仕方ないんじゃないの、という気がして。
思いやりが無いですか。でもキスって思いやりでするもんですか。
(日本は親愛のキスの習慣がないから、
デイビイの肩を持つお祖父さんに違和感があるのかも。難しいなぁ…)

それが自分だったとしても、世間話をかわすくらいのお爺さんに、
いきなり浮ついた態度で付きまとわれたら…
“この助平が味噌汁で顔洗って出直せ”というくらい
構えてしまうだろうな、と思います。
まだまだ未熟なようです。
(ケイティは本当に大人だね…)

   ※※※※※※※※※※※※※※※

ところで。
さっき“正しい犬のしつけ方”をTVで見ていたら、
夫がわたしにしている対応となんだか似ていた。Σ( ̄□ ̄)
(犬が遊んでほしいとねだってきたら、
ちょっと無視してから、遊んであげるといい、とか。
すぐに遊んであげると、人間は何でも言いなり!と誤解するそうです)
ま、いいですけど、別に…。




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