本棚7個じゃ足りません!

引っ越しのたびに蔵書の山に悩む主婦…
最近は二匹の猫の話題ばかりです

『時の娘』

2006年09月18日 | 

『時の娘』ジョセフィン・テイ 早川書房 1977

薔薇戦争の時代。亡き兄王の継承者である
いたいけな王子を殺害し、
自ら王位についたというリチャード三世。
悪名を残すこの人物の行動に疑問を持った
入院中のグラント警部は、
ベッドに寝たきりのまま、資料を頼りに
遥か昔の歴史の謎を追いかけることにする…。

何しろこの事件に関する予備知識が
ないものだから、素直に読みました。
正直、よく分からんです。人名も家系図も。
(同名の人、多すぎ。入り組んだ姻戚関係も複雑)
しかしさすがに評判を裏切らない面白さ。
歴史の定説を警察官の実際的な見方で覆す
という、わくわくする展開でした。

<以下は、ちょこっとネタバレ。ご注意下さい>

歴史書を作るのは常に勝者側…。
権力を握った支配者は、いくらだって自分たちに
都合のいい“真実”を後世に残すことが出来る。
(王朝が変わる際の情報操作は基本ですものね)

となればその記述に疑問を持たない訳にはいきません。
文字には説得力があるけれど、鵜呑みは禁物。
始めから客観的な目で検証する必要があるでしょう。
証人が嘘をついている可能性も大なのです。
(本当に、犯罪事件の捜査と一緒ね!)

グラント警部は作中で、
歴史家は人間心理を知らないと酷評していますが。
わたしたちも、“ま、当時とは心性が違うしね”と
歴史上の人物の辻褄の合わない行動を、
強引に説明しているところがあるような気がします。

あるいは物語と史実が混同した頭で、
キャラクターを決め付けてしまうことも。
(『三国志演義』で三国時代を理解したり。
そういえば『忠臣蔵』も『新撰組』も、
映画やドラマ、小説の影響が大きいですよね)
善悪はっきりしている方が、自分も含め、
大衆には分かりやすいんだろうな…と思います。

本書で取り上げられた人物も、一般には
怪物のような人間だと解釈されていましたが。
無用な感傷も先入観もなく事実を見れば、
ごく単純な構図が浮かび上がってきました。
偉大なる知識人の文章の力は怖いですね~!(゜o゜)

本書は歴史書ではないけれど、
ミステリの懐の深さを教えてくれる一品でした。
こんなのが、もっと読みたいですよ。

    ※*※*※*※*※*※*※

台風、過ぎていくみたいです。
ひどい風でした!!

日曜日は夫婦二人、うちの中でひっそり過ごして、
お酒も早くから飲み始めたのですが、
夫は21時にはソファーで寝てしまいました。
わたしは外の様子を見ているうちに不安になって、
シャワーで酔いを醒ますことに。

ところが体を洗っている最中に停電!
仕方が無いので、泡を流してから
懐中電灯を取りに行こう…と思っていたら、
ガスのスイッチ(電気式)まで切れてしまいました。
闇の中で静かに冷たい水を浴びるわたし。
(↑考えてみると呑気だねー

その後5分ほどして電気は復活。
改めてお湯で体を温めました。
覚悟していたより、停電時間短かった。
電力会社の皆さん、ありがとう。




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