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金融そして時々山

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安倍首相はメイ首相の二の舞か?

2017年09月27日 | ニュース

WSJは社説で「安倍首相の今回の総選挙戦略は英国の総選挙に二の舞になりかねない」と論じている。

今年6月英国のメイ首相は総選挙に打って出た。下院の任期は2020年だったので選挙の必要はなかったが、労働党の党内が分裂していると思ったメイ首相はこれを機に優位を固めようと思い、解散・総選挙に打って出た。

だがこれが誤算で選挙結果はメイ首相率いる保守党が13の議席を失い、労働党は30議席増やした。

WSJは「将来人気が低下することを恐れて支持率が高い時に解散総選挙に打って出る」戦略は、強さではなく弱さの表れで逆効果になりかねないと述べている。

現時点で今回の解散総選挙が自民党にとって裏目にでるかどうかは分からない。

民進党が分裂の危機に瀕し疲弊していることは間違いない。だがここにきて小池百合子東京都知事が率いる「希望の党」がでてきた。

WSJは希望の党への期待が高く、自民党が議席を減らした場合、安倍首相の信任が揺らぎ、希望の党への離脱者がでて、最後には小池氏が自民党を吸収し、首相の座に就くかもしれないと述べている。

私は現時点でこの見方を全面的に支持する訳ではないが、若干可能性のあるシナリオだとは考えている。

小池知事は保守を宣言しており、安全保障面では安倍首相と同じような考え方だ。だとすると2人の争点は「消費税を10%に引き上げるか」「引き上げないか」ということになる。巨大な票田である東京都で選挙民が「消費税引き上げ反対」を訴える希望の党に大量の票を投じた場合このようなことも起こり得るかもしれない。

WSJは「安倍政権はコーポレートガバナンスの改革を除いては選挙公約を達成できていない」と批判的だ。特に労働法改革が進まず、生産性と賃金が停滞しいてることにフラストレーションを高めている。

確かに安倍政権は労働法改革を推し進めることができなかった。労働法改革を推し進めるには「同一労働同一賃金」という理念、「賃金は労働時間量で決まるのではなく成果物で決まる」という当然の道理を強力に推し進めることができなかったからである。

国会で絶対的な多数を占めた与党政権をもってしても労働法の改革は進まなかったのであれば、与党が議席を減らしたりあるいは連立政権の組み換えなどを模索せねばならない状態になれば日本の労働法の改革はますます遅れることになる。

安倍首相がメイ首相の二の舞になるかどうかは分からないが、今回の総選挙は日本の構造改革面でマイナス面が大きいかもしれない。

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