金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

所得格差拡大に世界中で不満

2008年05月19日 | 社会・経済

グローバリゼーションは「超富裕層」を生み出した。国際機関によると世界のトップ50人の金持ちは最貧層416百万人以上に稼いでいる。最近のFT/Harrisの調査によると、欧州・米国・アジア総ての地域で所得格差拡大に対する不満が拡大している。この調査は先月から今月にかけて、8カ国9千人弱を対象に行われた。

興味深いことは、従来所得格差に寛容だった米国でも格差に対する不満が高まっていることだ。米国の回答者の78%は格差は大き過ぎると考えている。スペインの回答者の76%、ドイツの回答者の87%が格差が大き過ぎると回答しているが、米国も同じ水準だ。中国では80%の人が所得格差は大き過ぎると考えている。所得格差が最も小さいと考えられているのは日本で、64%の人がそう考えている。

調査対象の総ての国で、高所得者への税率を高め低所得者の税率を下げるべきだという意見が多数を占めている。

これから暫くは世界の主な国で政治の中心課題は所得格差の是正になるだろう。もし人々の「平等」を達成することが、政治の課題だとすれば米国はいうまでもなく、欧州もかなり外れた場所に行ってしまったということだろう。市場金利が「経済成長」と「インフレ懸念」を巡って揺れる振り子である如く、「所得格差」問題も「平等」と「活力」の間をゆれる振り子である。ここ暫く振り子がグローバリゼーションと市場主義に振れ過ぎたということだろう。

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ジーンズを買い換える日

2008年05月18日 | うんちく・小ネタ

昨日武蔵村山のイオンモールにジーンズを買い替えに出かけた。3月に入院して意図せざるダイエットを行っていたおかげで、ウエストが締まり今までのジーンズが緩くなったのだ。メタボリック対策が喧伝される中ありがたい話である。ところでジーンズのウエストサイズは、一般のズボンに比べて緩めに表示されているようだ。色々試着した結果私は31インチのストレートを買ったが、31インチというと79cmだ。普通は82-85cmがちょうど良いところだから、インチでいうと32か33、ところがこのサイズのジーンズだとブカブカなのだ。どうしてジーンズのサイズは実際より小さめの表示なのだろうか?

Denim

インチ表示というのもピンとこない。ジーンズがアメリカから輸入されていた頃は当然インチ表示だったが、今アメリカから輸入しているものはほとんどないだろう。私はEdwinの403を買ったが、ちゃんとMade in Japanと書いてある。Edwinというと外国メーカーのような響きだが、実は常見商店という会社を前身とする日本の会社で、DenimのDとEをひっくり返し、NIMを上下逆さまにしてEdwinとした・・・ということをウイキペディアで読んだ。いずれにしても日本の会社が作り、日本人に売るのだから、センチ表示にして欲しいものだが、そうするとジーンズっぽくなくなって売れないのだろうか?

買い物の後ワイフと「野の葡萄」という和食バイキングでランチをした。メニューの一品一品は野菜や魚中心でヘルシーなのだが1,600円で食べ放題、コーヒー・デザート付というと、つい元を取ろうと考えて食べ過ぎるから中年男性には危険なのだ。結局少し食べ過ぎた私は、遅い午後をジムのトレッドミル(ランニングマシーン)で過ごした。

大型モールでショッピングしてジーンズをはいて、食べ過ぎて運動でカロリーを消費しようとする・・・・なんだがアメリカ人の悪いところがうつったような休日の午後だった。

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日本は技術者不足にどう対応するのか?

2008年05月18日 | 資格・転職・就職

ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、太っ腹な新聞社である。無料で内容の濃いホームページを提供しているし、しっかりした論説で技術者不足の悩む日本の会社がどうするべきか?を示唆してくれる。NYTは日本の総務省は電子産業界は既に50万人の技術者不足に陥っているという。

日本で技術者不足が起きている理由は、少子化で若者が減っている上に「理系離れ」が続いているからだ。理系離れは英語ではFlight from scienceだが、Rikei banareのまま通じる時代がくるかもしれない。特に日本の若者の理系離れによってポジティブな影響を受けるアジア諸国では。

理系離れは日本特有の現象ではなく米国や英国でも起きていることだ。経済が発達し、国民の活水準が向上してくると、若者はより魅力的で稼ぎの多い金融業や医学関係を目指すようになる。わき道にそれるが、「魅力ある仕事」をNYTはSexy and coolと表現していた。一方魅力のない仕事はUnglamorousだ。「肉体的な」のグラマーの反対語だ。余談ついでにいうと、日本で長年金融業に勤めてきたが、今の金融業が「モノつくり」に比べてsexyだともglamorousだとも思わない。もし若い人でそう思う人がいたとすれば、それはお父さん達の夢物語の影響かもしれない。

文部科学省によると、1999年以降日本で理工学部を卒業した学生の数は50万人だが、中国では毎年40万人の技術者が生まれその内に日本に取って代わるだろう。

理系離れが起きている米国や英国では積極的に外国人技術者を採用している。政府統計によると2006年に日本では、157千人の高度な技術を持つ外国人が働いていた。これは10年前の2倍である。しかし米国で働く外国人技術者780万人に比べると余りにも少ない数だ。

日本で外国人労働者を採用し、就業させることが困難だと判断する会社は、研究調査部門を海外に移転させている。例えば東洋エンジニアリングとその関連会社は国内に25百人のエンジニアを持っているが、インドを中心に海外で30百人のエンジニアを採用している。

☆    ☆     ☆

これは身の回りに起きた話だが、少し前に私はある一部上場のIT会社から「海外でソフトウエア開発部門を充実させたいから、60歳以上で良いから海外との契約などに詳しい人を紹介してほしい」という依頼を受け、某先輩を紹介したことがある。ITそのものに詳しくなくても、クロスボーダーの契約や人事・総務などに知見がある人だったので、話はうまくいった。

日本の経済発展の基盤である技術力を維持していくために「理科系志望者を増やす」「技術者の給料を、事務系の人間よりも魅力あるものにして優秀な人材を確保する」「外国人技術者の受け入れ環境を整える」「海外での採用を進める」など諸施策を官民合わせて早急に実施するべしと思った次第である。金融業で国際経験を積んだ人をメーカーに回す・・・などということももっと行われて良いことだろう。

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ビルマよりは北朝鮮の方がましということか?

2008年05月16日 | 国際・政治

このところアジアでは悲惨な事故が続く。一つはビルマを襲ったサイクロンで10万人の死者が出た。次の一つは中国・四川大地震で死者は5万人を越えると推計されると今日の新聞は報じているが、私はもう少し増えるのではないかと予想している。しかし余り今の日本の新聞が報道していないが、これらと並ぶかあるいはそれ以上に悲惨なのは北朝鮮の食糧危機だろう。北朝鮮の食糧危機で何人の人が餓死したのかというデータは見当たらないが、6百万人の人が飢えていて相当数の人が死線をさまよっていることは間違いない。

米国は北朝鮮に対して、50万トンの食糧援助をすることを最近決定した。50万トンの内40万トンは国連食糧支援プログラムを通じて、10万トンはNGOを通じて供給される予定だ。

米国は食糧支援と核の問題は関係がないと言っているが、これに先立ち北朝鮮は核開発に関する数千ページにわたる詳細な文書を提出しているので、多いに関係があると考えるべきだろう。

また前例のないことであるが、北朝鮮は支援食糧が平壌のエリートだけでなく、一般国民に行き渡らせることを担保するために外国の監視団の受入を了解している。これはビルマの軍事政権が外国人の立入りを嫌って食糧援助を拒んでいることと際立った対比をなしているとFTは説明していた。

問題はこの北朝鮮の態度をどう解釈するか?であろう。私は金政権が外国の監視団を受け入れることにしたのは、人道主義路線に転換したというよりは、食糧飢饉がどうにもならないところまで来てしまったのではないか?と推測している。従ってビルマの軍事政権より金政権の方が人道的だなどという判断は避けた方が良いだろう

サイクロンや地震で一度多くの人が死ぬことはニュース性が高いが、飢饉でじわりじわりと人が死んでいくことはニュース性が低いのか(あるいは情報が全くとれないのか?)日本のマスコミを賑わすことは少ない。しかし日本に一番近いところで悲惨な状況が起きており、しかもそれが何か極東の地殻変動につながりそうな気配がしている。

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ブッシュじゃ、インド人には勝てないね

2008年05月16日 | うんちく・小ネタ

昔アメリカにいた時会社にインド人が内部管理責任者として働いていたことがあった。良い男だったが、強い巻き舌の英語と理屈っぽいのには少し閉口することがあった。以来インド人と議論することは避けようと私は考えている。

さてそのインド人が米国のブッシュ大統領とライス長官の不適切発言に怒りの反論をするという事件をニューヨーク・タイムズが報じている。

話の筋はこうだ。5月2日のミズリー州のニュース・カンファレンスでブッシュ大統領が「インドの急成長する中産階級がより良い食材を求めだしたのが、食糧価格上昇の原因だ」と発言したことが、インドの政治家・経済学者達の怒りを招いている。そして議論は「誰が世界の資源を貪(むさぼ)る暴食家なのか」ということに発展している。

この話自体は日本のマスコミでもちらっと見かけたが、インド側の反撃が興味深かったので面白いところを少し拾って見た。

米国では毎日一人当たり3,770カロリーを消費しているが、インドでは2,440カロリーだ(国連食糧農業機関の資料による)。もし米国人がインドの中産階級程度にスリムになれば、多くのサハラ南部の飢えた多くの人を救済することができる。

・米国人が過食で蓄えた脂肪を脂肪吸引で取り出す費用を回せば、多くの飢饉の犠牲者を救うことができる。

・米国が西部の耕作地をエタノール等植物燃料生産に転換したことが食糧価格高騰の原因だ。また米国とカナダの一人当たり石油消費量は世界で一番高い。

・欧米諸国は自国の農業に補助金を出すことで、アフリカ・インドの農業の競争力を落としている。

・ブッシュ大統領の経済知識は有名ではない。誰がこの発言をするべくアドバイスをしたかは知らないが、その分析はサブプライムだ。

ざっと以上のような反撃をブッシュは食らった次第だ。どうもブッシュの不用意な発言よりもインド人の反撃の方に根拠がありそうだ。冒頭インド人は理屈っぽいといったが、これは彼等の理屈には根拠があり、その根拠からヒタヒタと押してくるので、情緒的な発言をしていると手痛い反撃を食らうという趣旨だ。ブッシュ大統領とは話をしたことはないが、彼の弟とは2,3度食事をしたことがある。大変気の良い男だった。ひょっとするとブッシュ大統領も理屈の男ではなく、情緒的な男なのだろうか・・・・という気がしてきた。

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