グローバリゼーションは「超富裕層」を生み出した。国際機関によると世界のトップ50人の金持ちは最貧層416百万人以上に稼いでいる。最近のFT/Harrisの調査によると、欧州・米国・アジア総ての地域で所得格差拡大に対する不満が拡大している。この調査は先月から今月にかけて、8カ国9千人弱を対象に行われた。
興味深いことは、従来所得格差に寛容だった米国でも格差に対する不満が高まっていることだ。米国の回答者の78%は格差は大き過ぎると考えている。スペインの回答者の76%、ドイツの回答者の87%が格差が大き過ぎると回答しているが、米国も同じ水準だ。中国では80%の人が所得格差は大き過ぎると考えている。所得格差が最も小さいと考えられているのは日本で、64%の人がそう考えている。
調査対象の総ての国で、高所得者への税率を高め低所得者の税率を下げるべきだという意見が多数を占めている。
これから暫くは世界の主な国で政治の中心課題は所得格差の是正になるだろう。もし人々の「平等」を達成することが、政治の課題だとすれば米国はいうまでもなく、欧州もかなり外れた場所に行ってしまったということだろう。市場金利が「経済成長」と「インフレ懸念」を巡って揺れる振り子である如く、「所得格差」問題も「平等」と「活力」の間をゆれる振り子である。ここ暫く振り子がグローバリゼーションと市場主義に振れ過ぎたということだろう。