金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

消費者を襲うパーフェクト・ストーム

2008年05月01日 | 金融

昨日米連銀は金利を0.25%引き下げ2%とした。市場ではこれをもって連銀は金利引き下げを一休みするのではないか?という観測が高まっている。このような観測は連銀の声明文の中から「ダウンサイドリスク」という言葉が消えたなどという細かい観察から来るのだが、そのことは省略する。私は米国のダウンサイドリスクが減少したとは考えていないので、そのことを少し述べたい。

FTはRBS Greenwich Capitalのストラティジスト・ラスキン氏の言葉を紹介している。

「消費者は下落する住宅価格、燃料と食料価格の上昇、消費者信用へのアクセス難の増加、雇用と所得の減少というパーフェクト・ストームに包囲されているという心地がしている」

またケース・シラー指数(住宅価格指数)を作った一人であるシラー氏は今回の住宅価格の下落は大恐慌時のそれを上回る可能性があると警告している。大恐慌時に住宅価格は30%下落しているが、今回は2006年6月時のピークに比べて20大都市指数で14.8%下落している。

住宅価格の下落が一番激しいのはラスベガスとマイアミで過去1年間で各々22.8%、21.7%下落している。住宅価格の下落は続いており、これが経済成長にブレーキをかけているのだ。

米国では約9百万人がネガティブ・エクイティの状態にある。ネガティブ・エクイティというのは、住宅抵当ローンの残高が住宅の売却価格を上回っている状態だ。この状態になると、借り手はまさに動けなくなる。というのは米国では新しい雇用機会を求めて人々は住宅を処分して新天地に向かうのが通常の姿で、これが経済のダイナミズムを作り出してきた。しかし住宅を売るに売れないと引っ越すことが出来ず、新しい雇用機会をつかむことも難しい。

従って住宅価格の下落を止めないと米国の景気は良くならないのである。

住宅価格の下落を止める方法は短期的には、巷間言われるように米国住宅局に問題のある住宅ローンを購入させることだろう。

しかし長期的な観点からは、私は労働配分率を高めて、健全な住宅ローンを組んで自宅を購入できるような消費者層を育ててることが肝心だと考えている。つまり企業収益を高めるため、低コストなパートタイマーへの依存度を高めてきた結果、住宅購入力のある消費者層が減ってきたのが、サブプライム問題と住宅価格下落の根源的な問題があると私は考えている。ただしこのような意見は英米の新聞・雑誌でも余り見かけないので、正しいかどうかは分からない。

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感じの良い保険会社

2008年05月01日 | 健康・病気

この前入院した後保険会社に給付金を請求した。この件で「感じの良い保険会社」と「余り感じの良くない保険会社」があることが分かった。感じの良い保険会社はアフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)だ。何故感じが良いか?というと一つは給付金の支払が非常に早かったことだ。請求書類を送付してから5、6日程で支払通知と口座への入金があった。もう一つは給付金の請求時に添付する保険会社の所定の様式による病院の入院(受診)証明の件である。病院は証明書の発行に1通5千円程度の費用を取るから、保険会社毎に所定のフォームで証明書を貰うと負担が増える。アフラックは「他の保険会社の様式で発行された証明書のコピーで良い」と言っているので、証明書発行費用が削減できる。もう一つアフラックの感じが良いところを付け加えると電話の応対がきちんとしていることだ。

感じの良い保険会社がある一方「余り感じの良くない保険会社」がある。私は某旧財閥系生命保険会社の医療保険にも加入していて、こちらにも給付金の請求を出したこちらは3週間程経ってもなしのつぶてである。請求書類に不備でもあったのか?と思い確認したところ「支払はゴールデンウイークあけになります」とのことだ。これだとアフラックとの支払時期の差は1ヶ月位になる。同じような内容の給付請求なのにどうしてこれ程給付時期に違いがでるのか理解に苦しむ。またこの保険会社は「自社の所定様式による入院証明しか受け付けない」と明記している。感じが良くないところだ。更に付け加えるとこの保険会社には6,7年前ワイフの入院で給付金を請求したことがあったが、一部給付漏れがあった。数年後延滞利息を付けて送金してきたが、金融庁検査等の指摘の結果だろうと思われる。これが偶々の誤りか給付事務処理のプロセス全般に問題があるのかは不明であるが、将来の給付金の正当性について不安が残ることは確かだ。

以上のように保険会社毎にかなり給付手続きの差があるのだが、この辺りは実際に保険事故が発生しないと消費者には分からないところだ。

ただし感じの良い保険会社の保険料が安いかどうかは分からない。医療保険は給付内容が複雑なので同一物として保険料の比較が困難である。その保険が安いか割高かを比較するには保険料を「純保険料」と「付加保険料」に分解して比較するしかない。「純保険料」とは保険金や給付金に充当される保険料で「付加保険料」とは保険会社の営業経費や利益に充当される保険料だ。「付加保険料」が低いほど消費者には有利な保険なのだが、日本では「付加保険料」が開示されていないので比較はできない。ただし常識的にいうと「大きい保険会社ほど営業経費率が低いので付加保険料は安いのではないか?」という推測は可能だろう。

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