金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

好きな作家が近くに住んでいた

2008年05月13日 | 本と雑誌

私が住んでいる西東京市には余り作家は住んでいないと思っていた。西東京市というよりも西武線沿線に住んでいる作家が少ないのである。数少ない作家の一人が藤沢周平氏で、かって東久留米市に住んでいたことがった。

ところが最近私の好きな中村彰彦氏が西東京市に住んでいることを同氏の「戦国時代の『裏』を読む」(PHP文庫)を読んでいて発見した。

拙宅は西東京市保谷町のうちにあり、市内には玉川上水の分水のひとつ、千川上水が流れている(「歴史作家の見るところ」より)・・・・とあるではないか。もっともこの一文のオリジナルは「週間ダイヤモンド2003年9月20日号」に掲載されているので、それ以降引越しをされていないとしての話であるが。

中村彰彦氏の小説に魅力を感じる第一の理由は「徹底した史実主義」である。司馬遼太郎は「司馬史観」の展開を急ぐ余り時として史実を逸脱することがあった。より好意的にいうと自分が書きたいことを書くために他の重要な史実を無視したところがあった。中村氏の歴史小説は私が読む限りその辺りは抑制が効いていて、出来る限り史実に即して書くという姿勢が貫かれている。

第二の理由は文章の堅牢さだ。これは氏の持って生まれた資質かあるいは東北大学文学部で研鑽を積まれた成果であるのかは私には分からない。ともあれ中村氏の堅牢な文章は「史実小説」を書くに相応しい文体である。

第三の理由は私と年齢がほぼ同じということだ。同年代にこのような作家がいることは励みになる。そして第4の理由を加えるとすれば、近いところに住んでいるということだろう。

中村彰彦氏の小説は皆読み応えがあるが、中でも私は保科正之の生涯を描いた「名君の碑」は良い本だと思っている。特に政治家には読んで貰いたい本であるし、組織で人の上に立つことがある人にも勧めたいと思っている。

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オバマ、人種よりも愛国心の問題か?

2008年05月13日 | 政治

英米の新聞・雑誌をチラチラ見ると、民主党の候補者選びは事実上オバマ候補に決まり、関心事は彼が共和党のマケイン候補の勝てるかどうかに移っている様だ。FTによると火曜日のウエスト・ヴァージニアの予備選挙ではヒラリー・クリントンがオバマに大勝する予想が立っている。この小さな州でクリントン候補が勝っても予備選挙で逆転することはないが、この州は大統領選挙で重要な意味を持っている。民主党の大統領候補は1916年以来ウエスト・ヴァージニア州で勝てなかった場合は選挙で敗退している。ところが世論調査によると、民主党はクリントン候補であるとマケイン候補に辛うじてかつことができるが、オバマ候補では20%近くの差をつけられて負けるという予測である。

ウエスト・ヴァージニア州はバイブル・ベルトという米国南西部の根本主義キリスト教が強い地帯とラストRustベルトと呼ばれる斜陽工業地帯の境界に位置する州で、オバマ候補の強い支持層である黒人や豊かな白人層が少ないところだ。白人比率は96%と高いが大学卒業者の比率は全米最低だ。ずばりというと貧しい白人が多い州だ。

FTによると「俺はずっと民主党を支持してきたが、オバマ候補はイスラム教徒というし、奥さんは無心論者がからオバマが候補者になるなら、マケインに投票する」というある選挙民の言葉を紹介している。無論オバマ候補がイスラム教徒というのはデマに過ぎないが。オバマ候補よりマケイン候補を支持するという人達の大きな理由には「コスモポリタンに見えるオバマよりも、愛国心むき出しのマケインに好感を持つ」というものがあげられる。

エコノミスト誌は「オバマ候補が大統領に選ばれるかどうかは人種の問題よりは階級の問題だ」と論じていた。この論法を用いれば、ウエスト・ヴァージニア州の貧しい白人労働者層は人種的な違和感よりも、オバマ候補の中に見えるエリート主義に反発を感じているということになる。もはや黒人=貧しい・白人=豊かなどという単純な図式で論じることはできない時代だ。図式が複雑になった場合、人々は愛国心という単純な座標軸を求めるのかもしれない。

経済問題や社会問題が先鋭化する時代には愛国心が高まる・・・いや正確にいうと愛国心を煽る人間の人気が高まる傾向があるとすれば、11月の大統領選挙は現政権の失政にも関わらず、共和党が拾う可能性もありそうだ。

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