金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

インドネシアがOPECを抜けた意味

2008年05月29日 | 社会・経済

インドネシアは昨日OPECから脱退した。同国はアジアでただ一つのOPECメンバーだったので、これでアジアのOPECメンバーはいなくなる。「・・・抜けた意味」とブログのタイトルを付けたが、抜けたこと自体は原油価格の動向等に影響を与えるものではない。インドネシアは産油国から原油の消費国に変り、原油価格が安い方がメリットがあるので、価格カルテルであるOPECから抜けた訳だが、2005年には既に原油の輸入国になっているから、実際上の影響はないだろう。しかしインドネシアの原油の産出と枯渇の状況は全世界の原油の将来を暗示するかもしれない。

インドネシアは1962年にOPECに加盟、1976年に原油生産量は頂点に達した。その20年後の1995年から、原油の生産量は減少し始め、2005年には原油の純輸入国になった。現在の生産量は1日1百万バレル以下になっている。

自分のデータベースとして原油の生産国を列挙しておく。()内は1日当たりの生産量で単位は万バレル。

サウジアラビア(1,086)ロシア(977)米国(687)イラン(434)中国(368)メキシコ(368)カナダ(315)ベネゼラ(282)UAE(297)クェート(270)

また10大消費国は、米国(2,059)中国(745)日本(516)ロシア(274)ドイツ(262)インド(258)韓国(231)カナダ(222)フランス(195)サウジアラビア(201)

また確認されている原油の埋蔵量はサウジアラビアが最大で2,643億バレル。世界の10大消費国が1日に使う原油量は約5千万バレルで、年間では約183億バレルだ。もし10大消費国がサウジの原油だけを消費すると15年弱で枯渇する(2,643÷183=14.4)計算だ。

原油はやはり有限の資源である。

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小池百合子によると解散引き延ばし

2008年05月29日 | 政治

28日のファイナンシャルタイムズ(FT)は、自民党の有力政治家達が「自民党は政権の座から滑り落ちることを恐れて衆議院の解散を出来る限り引き延ばす」と同紙に語ったと報じている。有力政治家の中で実名が出ているのが小池百合子だ。小池氏は「福田首相の元では総選挙は行わないだろう」「だって孫子も負ける戦いをしてはいけないと言っているでしょ」と話す。

「負ける戦いをしてはいけない」というのは孫子の根本原理だが、「孫子」のどこに書いてあるかというとパッとは思い出せないけれど、一番最初に「兵(戦い)は国の大事、死生の地、存亡の道なり。察せざるべからず」とある。また「軍形」編に「勝兵は先(ま)ず勝ちてしかる後に戦いを求める」とある。つまり名将は勝てる状況を作り出してから戦いを始めるということだ。これらを総合すると孫子が負ける可能性がある無謀な戦いを最も忌むことが分かる。

記事の内容自体は自明の話なので、それ程面白くもないが、日本の政治家は日本のマスコミには話さないことを外国人ジャーナリストにはバンバンしゃべることが面白い。

最近ジェラルド・カーティスという米国人政治学者が書いた「政治と秋刀魚」という本を読んだが、これが面白かった。詳しいことは別の機会に書評を書くとして、一番面白いことは歴代首相を始め、日本の有力政治家が、カーティスさんにはドンドン秘密の話をするので、彼の手元には貴重な裏話が集まり、日本の政治の研究が進んだというところだ。

私がファイナンシャル・タイムズを読んでいる理由も同じところにある。つまり日本の新聞は「突っ込んだ話」や「当局を徹底的に批判する記事」を書くと次から情報を貰えなくなるので、どうしても「ちょうちん記事」を書く傾向がある。ところがFTなどはそんなことお構いなしにズバッと書くので、時々貴重な情報に出会うことがある。

ところで小池氏達のいう様に、自民党が来年9月の衆議院の任期まで政権の座にしがみついているとすると日本の閉塞感は高まる一方だ。もっとも今解散したところで、自民党と民主党の間で「争点」を選挙民に明らかに出来るかどうか疑問ではあるのだが・・・

さてFTを読む外人達は、ねじれ国会で立法力を失い、改革推進を進められない日本を見て、日本株に失望するのだろうか?それとも政治は政治、経済は経済と割り切って株式投資の判断をするのだろうか?

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