先日某顧問先で新任管理者向けに講話を依頼されて、「プロジェクトマネジメントのソフトスキル」というテーマで話をしてきました。
顧問先は土木設計や街づくりをビジネスにしている会社なので、プロジェクトマネジメント(PM)に係わっている人も多いのではないか?と思ってテーマに選んだのですが、実際にはPM関係者はそれ程多くなかったようです。
したがってPMの話がどれ程参考になったか分かりませんが、受講者の方がちょっと目を光らせメモを取っている部分がありました。
それは「プロジェクトマネージャーの資質として重要なものの一つに『曖昧さへの耐性』がある」という部分でした。これは「世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント」という本にでてくる話なのですが、受講者の皆さんはこれまであまり聞いたことがなかったのかもしれません。
ちなみにこの本によると「変更管理の能力」というのも、プロジェクトマネージャーの重要な資質にあげられています。
最近マスコミで目にするとプロジェクトといえば、2020年のオリンピック開催や東京都の卸売市場の豊洲移転問題などでしょう。
どちらも「曖昧」な部分が多く、スケジュールやスペックがコロコロ変わっていくので、プロジェクトマネージャーの方の力量が試される場面が多いですね。
ビッグプロジェクトに較べると些細なイベントですが、今月末から私は地震で倒壊した小学校の復旧作業支援とトレッキングのため、ネパールに出かけます。小なりといえどもこれもまたプロジェクトなのです。
ネパールのような発展途上国に行くと、モノゴトが日本のようにスケジュールどおり進むことはまずありえません。これは人々が真面目に仕事をしていないからではなく、インフラ面や仕組み上に日本とは大きな違いがあるからです。
例えばネパールは慢性的な電力不足なので、しばしば停電が起こります。トレッキングに行くとロッジの燃料は薪に頼っているところが多い。
何時に朝食を食べたいか?と聞かれて「7時に朝食を作ってくれ」というとOK分かったという返事が返ってきますが、定刻に朝食が供されることはあまりないと考えておいた方が良いと思います。
彼らにとって7時はコミットではなく、努力目標なのではないか?と私は考えるようになりました。
日本のようにタイマーで翌朝のご飯の炊きあがり時間をセットしたり、スイッチ一つでお湯を沸かせる世界ではありませんから、当然なのでしょう。
しかし慣れるとそれはそれで悪いものではない、と私は考えています。日本の山小屋のようにギュウギュウの詰め込みで、食事は30分交替というのでは、山登りもベルトコンベアに乗っているようなものですから。
ということでプロジェクトマネージャーを目指す人には、ネパールのような発展途上国は資質を磨く絶好の道場だと思うのですが、日本では現役で働いている人が10日以上の連続休暇を取ることは至難でしょう。
ところがネパールではヨーロッパの若い人で1年程度の休暇(無給だが、元のポジションに復帰することができる制度)を取ってアジア諸国を旅している人に出会うことがあります。
旅をしながら彼らは自然に「曖昧さへの耐性」や「変更管理の能力」といったPMとしての資質を磨いている(結果として)のかもしれませんね。
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