今日(6月4日)CNBCのニュース欄で人気が高かったのは連銀が発表した世代別の純資産の平均値と中央値の統計だった。
ネットではしばしば日本の世代別貯蓄額データが報じられるが、他人がどれ位財産を持っているのか?というのは洋の東西を問わず関心が高いようだ。
かなり乱暴だが日米の個人資産の比較を行ってみた。消費行動等を考える上で参考になるところがあるかもしれない。
乱暴な比較になるという理由は米国のデータは「金融資産+不動産・自動車等を含む総資産マイナス負債」であるのに対し、日本のデータは金融資産で不動産が含まれていないので、日本のデータに腰だめの数字で住宅価格を加えたことだ。 腰だめの住宅価格は25百万円とした。これは住宅金融支援機構のフラット35利用による中古住宅(戸建て)の価格である。
為替レート@109円として換算すると次のような計算結果になった。
50代(米国の場合は55歳~64歳)
日本の家計の純資産残高(中央値)3,100万円
アメリカの家計の純資産残高(中央値)2,316万円
日本の家計の純資産残高(平均値)3,694万円
アメリカの家計の純資産残高(中央値)12,817万円
70代(米国の場合は75歳以上)
日本の家計の純資産残高(中央値)2,960万円
アメリカの家計の純資産残高(中央値)2,777万円
日本の家計の純資産残高(平均値)3,814万円
アメリカの家計の純資産残高(中央値)10,655万円
なおこの比較では日本の住宅の資産価値を平均25百万円としたが平均的な処分可能価格より高いかもしれない。
また住宅流通市場やセカンドモーゲージ市場が発達しているアメリカの住宅価格と流動性が低い日本の住宅価格を較べること自体にも問題がある。
以上のような問題は百も承知の上で「遊び感覚」で日米比較を行うと次のようなことが見える。
まず目につくことはにアメリカで純資産残高の中央値と平均値の乖離が大きいことだ。これは富裕層の純資産残高が極めて大きいこと、平たくいうと富が一握りの富裕層に集中していることを示している。それに較べると日本の富の集中度は低い。
日本では50代から70代にかけて中央値では純資産がやや減少する一方平均値では純資産がやや増加している。これは年齢とともに資産格差が拡大する傾向にあることを示唆しているようだ。
アメリカでは50代から70代にかけて中央値では純資産が増加する一方平均値では資産価値が減少している。
これは何を意味するのだろうか?
私は「平均的にはアメリカ人は老後資産の準備を進めているが、富裕層の中には贈与や慈善寄付等で積極的に財産を減らしている人がいる」結果ではないか?と推察している。もっともこのデータだけでは裏付けのない話でまったくの推測に過ぎない。