金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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消費税引上げ再延期をめぐる自民党内意見対立、本音かどうか?

2016年05月30日 | ニュース

安倍首相が消費税引き上げの再延期を党幹部に伝えてから、色々な意見がでている。麻生副総理と稲葉政調会長は引上げ支持派で再延期をするなら、衆院を解散して民意を問うべきだという意見だ。一方二階総務会長は「総理の考え方を全面的に支持する」と述べ、公明党の山口代表は消費税引き上げを主張しながらも、解散には反対なので最終的には、安倍総理の提案を受け入れるとマスコミは見ている。

さて消費税引き上げ再延長に反対する麻生・稲葉氏達は自説を曲げずに頑張るかどうかはちょっとした見もの。大方の見方は「自分たちが主張してきたことと整合する解決方法が見えてくると最後は首相に賛同する」とというものだが、与党幹部の中には「これ以上の財政悪化は容認できない。消費税引き上げが見送られるなら辞任する」という硬骨の人がいてもよいと思うのだが如何なものだろうか?

野党は消費税引き上げをまた見送るのはアベノミクスが失敗したからであり、安倍首相は辞職するべきだと主張している。野党のレトリックとしてはそうならざるを得ないのだが、果たしてアベノミクスは失敗だったのだろうか?

アベノミクスの成否を考える場合「理念としてのアベノミクスの成否」「手段におけるアベノミクスの成否」に分けて考える必要があると私は考えている。

結論としていうと私は理念としてのアベノミクスは正しいと思うが、安倍政権の問題はアベノミクス特に「規制緩和」の分野が不徹底だったことにあると私は考えている。さらにいうと「規制を緩和するべきところは徹底的に緩和し」「規制を強化するべき点は強化する」というメリハリがないことだと思う。

具体的にいうと雇用市場はもっと規制緩和をするべきだし一方では「同一労働同一賃金の原則」などはもっと推し進めるべきである。最低賃金ももっと引き上げるべきである。

世界の経済構造は激しく動いている。AIを中心とするITの進展はそれをますます加速する。それを睨んで新しい産業構造に向けて労働力の流動化を図らないといけない。ただし労働者を守るために同一賃金ルールの強化や最低賃金の引き上げは必須だ。世界の動きを見ていると先進国はそちらに向いている。

アベノミクスは理念において失敗しているのではなく、もし失敗しているとすれば、その不徹底さにおいて失敗していると私は考えている。政策の名前はどうであれ、徹底した規制緩和による産業構造の大胆な組換えともう少し安心して働ける雇用の枠組み作りが必要なのである。

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