昨日(5月24日)朝方発表された4月の新規住宅販売件数が2008年1月以来の高水準に達したことなどから大幅に反発した。
ダウは213.12ポイント(1.22%)上昇し、17,706.05で引けた。S&P500は28.02ポイント(1.37%)上昇し、引け値は2,076.06ポイントだった。
また米国の利上げ観測からユーロに対してドルが強含み、ユーロ安を好感して欧州株が上昇したことや、ORBの世論調査で英国がEUに残ることを支持する人の割合が55%、離脱を支持する人の割合が42%であることが分り、Brexit(英国のEU離脱)の可能性が後退したことも好材料だった。
米国の4月の新規住宅販売件数は、前月比16.6%増。年率換算で61.9万戸となった。米国の住宅市場における新規住宅の比重は市場全体の1割程度と大きくないが、景気や雇用見通しを図る指標として市場が着目しているものだ。
米国株については、6月の利上げ観測が高まり、頭が重たくなっている。S&P500については、このところ2,040-2,100のレンジで上下しており、昨日の反発もレンジ内の動きで相場のトレンドを変えるものではないようだ。
ところで米国の新規住宅販売件数・年換算62万戸という数字は、日本の新規住宅着工件数88万戸(平成26年)に較べると極めて少ない数字だ。
新規住宅の供給が少ないので、住宅価格は上昇している。4月の新規戸建の中央値は321千ドルで1年前に較べて9.7%上昇している。
米国では環境保護規制などのハードルが高く、新規住宅の供給は限られているので住宅価格は上昇傾向にある。
一方日本では800万戸を超える空き家がありながら、毎年巨大在庫の1割以上の新規住宅を作っている。「空き家は人が住みたがらないところで増え、人が住みたがる大都市周辺ではまだ新築需要がある」ということが、空き家の在庫拡大と新築住宅の併進の大きな原因だ。だが税制面などで新築住宅の取得が既存住宅の購入より優遇される面があることも見逃せないだろう。大都市周辺でもリノベーションをすれば、十分住み続けることができる住宅が簡単に廃棄されているのは、勿体ないことである。
国民経済レベルで考えると、アメリカ人が既存住宅を新築住宅より安い価格で手に入れて、その差額分を他の消費に回す余地を生み出しているのに較べ、多くの日本人は既存住宅を購入しリノベーションすることで相対的安く住宅を取得するという選択を捨て、高い新築物件を購入し、他の消費支出を削減しているということができそうだ。