金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

大荒れの相場、嵐はもう少し続くか?

2014年01月25日 | 金融

今週の米国株式市場は大荒れで終わった。

昨日(1月24日金曜日)のダウは、318.24ポイント下落。前日比1.96%の大幅ダウンだ。マーチンキングデイで月曜が休みだった先週は4日間でダウは3.5%下落した。ダウは節目の16,000ポイントを割り込んで15,879.11ポイントで終了した。

節目を割り込むというと、日経平均シカゴ先物は450ポイントほど下落して、15,000ポイントを割り込んで終了した。月曜日の日本株が大幅下落で始まることは間違いないが、どのあたりで落ち着くかは不透明だ。

先週の米国株の下落を主導したのは、中国の景気低迷懸念と新興国の通貨下落だった。23日にHSBCが発表したPMIは49.6ポイントと分岐点の50を割り込んだことから中国の景気の先行きに黄信号を投資家は感じた。

アルゼンチンのペソが対ドルで15%下落したことやトルコリラの大幅下落も悪材料だった。

米国内の経済データでは、失業保険申請数が約6か月ぶりの低水準になるなど良いニュースもあったが、新興国の経済成長悪化懸念の前には注目されなかったようだ。現在発表中の米国企業の四半期決算についてはあまりぱっとしない状況のようだが、売り上げ利益の多くを海外市場に依存する企業業績にとって新興国の景気低迷は大きな懸念材料だ。

だが多少海外の悪材料に過剰反応気味だ、とも私は感じている。投資家が過剰反応する理由は高値警戒感である。米国株の代表的なベンチマークであるS&P500は2011年以降まだ10%以上下落したことはないし、Strategas Research Partnersによると過去148日間5%以上下落したことはないという(USA TODAY)。

株価の10%下落がコレクションの一般的な定義なので、米国株は2011年以降コレクション知らずだったが、連銀がテーパリングを加速するのではないか?という懸念が新興国からの資本流出を招き、それが米国株の下落・米国債の価格上昇(金利低下)・ドル安円高を鮮明にした。

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滅多に自分のポートフォリオのことは書かないが昨日の朝(もちろん日本で)は出先で日本株急落の動きを見て、少し売っておきたくなり最近急上昇が続いていたある銘柄を売却した。その銘柄は日本電産。連結利益の上方修正で株価が続伸し、利益が出ている銘柄なので「精神的」には売りやすい銘柄だった。

ただこのような判断が投資家としてprudent(慎重・賢明)だったかという疑問が残った。人は過去の投資判断にこだわって将来の投資行動を決める。保有株に利益がでているかどうかより本当に大事なことはその株が他の株を保有しているよりパフォーマンスをあげられるかどうかなのだが。

分っているけれど、そのとおりにできないのは「実現益が確固たるものなのに対して将来の利益予想はあくまで予想」だからだ。相場の格言ではこれを「利食い千人力」というようだ。

「利食い千人力」という投資行動はプロの機関投資家の目からは間違っているかもしれないが、洋の東西を問わず、一般の投資家には共通する心理だろう。

ここしばらくは利食いの売りが市場を下押しする可能性がある。

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