金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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寒波だけは説明がつかない12月の非農業部門雇用者数

2014年01月11日 | 金融

昨日発表された米国の非農業部門雇用者数は、市場予想をかなり下回るもので、米紙ではdisappointingという言葉が目立った。

12月の非農業部門雇用者増は74千人で、市場予想の200千人を大きく下回った。これは過去3年間で最低のレベルだった。12月の雇用が期待通りに増えなかった理由の一部は12月に例年を上回る寒波が襲ったことにある。ただしモルガンスタンレーのエコノミスト・ワイズマン氏は寒波の影響による雇用の伸び悩みは5万人から7.5万人だろうと推測し、寒波だけでは雇用の伸び悩みを説明できないと述べていた(WSJ)。

雇用の伸び悩みは広いセクターで見られた。昨年の雇用増の一つの牽引車だったヘルスケアセクターは1,000人の減。雇用が増えたのは小売業でこちらは5.5万人の増。ただしWSJは雇用が増えているのは低賃金セクターだ、という傾向をはっきりさせると指摘している。

一方失業率は市場予想の7%を下回る6.7%だった。ただし失業率の低下の大きな要因は求職者の減によるものだったので、「良い失業率低下」とは言えない。

予想より弱い雇用統計を見て、為替相場では連銀がテーパリングの速度を見直すのではないか?という憶測からドルが売られ円が買われた。ドル円為替レートは67銭円高の104.17円。しかし株式市場の反応は薄かった。ダウは7.71ポイント(0.05%)下落したが、S&Pは4.24ポイント(0.23%)上昇した。

株式相場は連銀がテーパリングの速度を緩め、流動性の供給を持続することを歓迎し、経済成長が期待より弱くてもオフセットされると判断したためだ。

毎月発表される非農業部門雇用者数という統計は翌月・翌々月に修正されるので、一つの数字で景気の先行きを決めつけるのは危険だ。10月と11月の雇用者数は合計で3.8万人上方修正された。

次に市場が大きく注目するのは月末近くのFOMCだ。

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