金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

少しづつ高まるデフレ脱却に対する海外投資家の懸念

2014年01月23日 | 金融
1月に入ってから日本株の動きはぱっとしない。12月末の日経平均の終値は16,291.31ポイントで、昨日(1月22日)の終値は15,820.96だから2.89%の下落。米国株もぱっとしないが、同期間の下落率は1.23%にとどまっている。

日本株は昨年6割近く上昇したのでその反動が出ている面は大きい、と考える人は多いだろう。日本株の動向に大きな影響力を持つ外国人投資家の日本株に対する強気の見方に大きな変化がでているとは思えないが、少しずつ懸念材料にスポットライトを当て始めたことも事実だ。

CNBCはIs the Japanese story getting threadbare?日本の(復活)ストリーは、着古した陳腐な話になるのか?という短い記事で警鐘を鳴らしていた。

例えば物価上昇率の問題。11月の物価上昇率は1.2%だったが、クレディスイスの計算では、円安による輸入物価の上昇を控除した物価は前年比0.2%の下落だったという(CNBC)。

またCNBCはジャパン・マクロ・アドバイザーの大久保チーフ・エコノミストの「個人消費が3%も増えたというのはクレージーだ。私はバブルが起きていると言いたい。高齢化が進んでいる日本で個人消費が3%も増えるというのは不自然だ」という意見を紹介している。

消費が増え、需要を押し上げ、物価の上昇に結び付いていくには、消費者の懐が豊かになる必要がある。そのためには賃金が上昇する必要がある。賃金が上昇していくには、労働市場がタイトになり、かつ労働条件の改善を要求する組合が力を持っている必要がある。ところが厚生労働省が12月に発表した日本の労働組織率は17.7%。これは1947年以降最低の水準だ。

長引くデフレ、経済停滞、非正規雇用の拡大が「ものわかりの良い」労働者を育て、その結果労働組合が弱体化し、賃上げ交渉力を失い、賃金が上昇し難くなっているとすれば、これも負の連環の一つだ。

CNBCによると、このあたりも海外投資家の懸念材料のようだ。

これから数か月日本の政治と経済の本気度が試されることが多い。例えば2月の東京都知事選、春闘(死語でしたか?)、4月の消費税引き上げの景気に与える影響と政府・日銀の対応・・・・などだ。

海外投資家の日本経済の復活に対する懸念がある閾値を超えて高まると、日本株売りが増えるので要注意と私は考えている。


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