「肥満」で肩身の狭い思いをしている人には朗報となる研究がFTに紹介されていた。「肥満」の原因は食べ過ぎと運動不足と一般に考えられている。健康診断の後、悪い数値がでるとお医者さんが鬼の首でも取ったかのように、「食べ過ぎ飲み過ぎはだめだよ」「運動不足じゃないか」ということが多い。「肥満」の人の中には「自分は意思が弱いから食べ過ぎるのじゃないか」「運動不足になるのではないか」と落ち込む人がいるだろうが、この記事を読むと元気が出るはずだ。
それとともに「肥満対策」を商売にしてきた医薬品業界・健康食品業界に大きなインパクトを与える研究でもある。
FTによると研究を行なってきたのは上海交通大学の研究者達で、ネズミの実験を通じてある種の腸内バクテリア(エンテロバクター)が脂肪の蓄積を促進し、かつ消費を妨げることが解ってきた。そしてそのバクテリアの働きを抑制する治療食も研究されている。
研究グループが病的肥満者に対して特別な治療食(無漂白全粒の穀物、漢方薬、腸内のペーハーを変えるための非消化性の炭水化物)を与えたところ、23週間で体重が29%減少したということだ。
エンテロバクターはエンドトキシン(内毒素)とよばれる化学物質を放出する。この化学物質はインシュリン抵抗性を高め、食後に血液からグルコースを吸収する作用を遅くする。
研究グループによるとこの特別な治療食は3年以内に実用化する見込みだ。
肥満で悩む人、肥満が原因で糖尿病や高血圧症を患っている人には大変な朗報になる可能性がある。3年も待てない、という人は取り敢えず、食生活をwhole grainと呼ばれる全粒パンなどに変えると良いだろう。
この手の記事が公になると、食料品店の棚からあっという間に消えてしまうのが杜仲茶などの健康食品。だがこの記事を見る限りその手の際どさはなさそうだ。また全粒穀物が体に良いことは間違いないので、切り替えて損のない話である。