発展途上国を旅する人は携帯電話の普及に改めて驚く。私は1ヶ月程前にネパールでトレッキングを行ったが、ガイドが携帯電話でその日泊まる小屋に予約を入れているのを見て、携帯電話の普及を実感した。
トレッキング道中でモバイル端末からインターネットをブラウズしている人は余り見かけなかった。私自身もWiFiが使えた大きな村では無線LAN経由でブラウズしたりメールを読んだりしたが、携帯電話回線は使わなかった。
だがこれは恐らく2012年の秋、という一時点での現象で、もし来年あるいは再来年同地を訪れると違う風景が見られる可能性が高そうだ。つまり携帯端末経由でインターネットにアクセスする人がかなり増えているのではないか?と私は考えている。
たとえばお隣のインドではインターネットのユーザは人口の10%で、6割の人は携帯端末からブラウズを行なっているというデータがFTに出ていた。記事によるとインターネットのユーザ割合と携帯端末経由のアクセス率(モバイル・ブラウズ割合)から各国は幾つかのグループに分類することができる。
まず日米英独等先進国ではインターネットのユーザ割合は8割前後で、モバイル・ブラウズ割合は10%前後というグループを形成する。
中国、メキシコ、トルコ、ブラジルはインターネット・ユーザ割合は4割前後で、モバイル・ブラウズ割合は10%以下というグループを形成する。モバイル・ブラウズ割合が高いのは、インド、ナイジェリアの60%、インドネシアの30%弱程度など。これらの発展途上国では地上回線敷設より携帯電話網の普及の方が低コストで早くできるから、インターネット接続もデスクトップなどのPC経由ではなく、スマートフォンなど携帯端末経由となるケースが多い。一方先進国では業務上のインターネット・アクセスが多いこともあって、高性能のモバイル端末が普及しても、モバイル・ブラウズ割合はあまり高くならない。
唯一といってもよい例外はお隣の韓国。インターネット・ユーザ割合は日米英独と肩を並べる8割でありかつモバイル・ブラウズ割合が3割とかなり高い。サムソンなど世界的な携帯端末メーカーが販売に力を入れているからだろうか?
勝手な推測を述べると、ネパールのような山国では、携帯電話網は普及しても地上回線が全国的に普及することは未来永劫になさそうだ。利用される端末は最新機種ではなく2,3年前のモデルだ。しかしアクセスするHPを軽くするとそれで十分利用することができる。
私が所属するNPO法人は十年以上も前から小学校の校舎の建築でネパールを支援してきた。だがPCやタブレット端末が教育の場で活用されるようになってくると、支援のあり方も考える必要があるかもしれない。
安くて手軽な携帯端末の普及は何千万人、何億人の人をインターネットに呼び込む力を持っている。英語教育に力を入れているネパールの若者達が活躍できる日が来そうな予感がする。