菅首相夫妻の資産は22百万円で、これは鳩山前首相が母親から毎月貰っていたお金1500万円の1.5か月分だ。政治家は資産が少なければ良いというものではないが、恐らく多くの国民はこの数字を見て菅氏にある種の共感を覚えるだろう。
今日の新聞は菅首相が「財政再建には超党派の議論が必要との認識を示した」と報じている。私はかねてより財政健全化が喫緊の課題であると考えているので新内閣のこの問題に対する取組姿勢には期待したい。自民党などもこの呼びかけには前向きに応じるべきだろう。財政再建という大きな問題は目先の選挙対策ではなく、まさに超党派で大枠の合意を行って欲しいものである。さもないと10年後には日本はIMFの指導の下で緊縮財政プランを強いられる可能性もゼロではないと私は懸念している。
菅政権が財政問題についてタカ派といわれる仙石氏を官房長官に、そして彼と考え方が近いといわれる枝野氏を幹事長に据えたことは評価してよいと考えている。
ところで経済的な面で庶民的あるいは少なくとも庶民的に見せよう政治家の人気が高くなっているのは英国の選挙などをみても分かるように世界的な傾向だ(実際は英国のキャメロン首相は裕福な育ちなのだが)。
これは何故かと考えてみると、サブプライム問題や南欧諸国のソブリン債務問題などの経済危機が「富裕層優遇の結果」であるという見方が広がっているからだろうと私は考えている。
ファイナンシャル・タイムズにコロンビア大学のJeffrey Sachs氏が寄稿していたエッセーの中に次のような降りがあった。
「政府や国民は富裕層にもっと所得税と財産税を払うように、そう本当にもっと払うように主張するべきである。過去25年間にわたる富裕層への所得配分は、我々の経済を超富裕層の非常に高価な遊び場にしている。米国と英国の右派・左派の主流の政治家は選挙資金を負担する富裕層に対して低い税金でご機嫌取りをしている」
日本の場合も政治献金を行う企業団体等が色々な経済的便益を受けそれが行政や経済の効率化、所得の公平な再配分の障害になっている事例は多いだろう。
このような観点から菅政権に国民の期待が高まっているのだろうと私は考えている。