ファイナンシャル・タイムズによると、アップルのジョブズ会長がAll Things Digital カンファレンスで行った「マイクロソフトのウィンドウズOSの人気は永続的に下落する。何故なら人々は他の手段でインターネットへの接続を行うからだ」という主張は意外な支持を得ている。
カンファレンスでジョブズの演説を聴いたIT企業やエンターティンメント企業の幹部は彼の意見に賛同していると思われるとFTは報じている。
ジョブズはウインドウズをトラックにたとえ、大部分の人々が農地に暮らしていた時はトラックが普及していたが、大部分の人が都市や郊外に住むようになるとトラックの重要性は失われたと説明する。
我々一般のパソコンユーザにとってインターネットへの接続が簡単にできるようになったのは、ウインドウズ95が登場してからだ。それまではOSがインターネット・プロトコルをサポートしなかったのでインターネットへの接続はかなり技術を必要とした。
しかし現在はアップルはもとよりLinuxやアンドロイドなど別のOSが登場している。またデバイスもPCのみならず、キーボードを使わないスマートフォンやiPadのようなタブロイド型のものが登場している。トラックのたとえを使えば、セダンやスポーツカーなど人々の選択肢は多様化したということだ。
ウインドウズが直面する大きな問題はハッカーに対する安全性の問題だ。例えば安全性の問題からグーグルは今年に入って、会社内でウインドウズの利用を止め、Mac OSかLinuxへの切替を進めている。
マイクロソフトというと「業界を独占する巨人」の代名詞だった。たとえば「シマノは自転車変速機のマイクロソフトだ」というように。しかし暫くするとこのアナロジーは消えるかもしれない。
これに対してマイクロソフトのLewin氏は「もっと多くのタイプのハードウエアが使われるようになるだろうが、マイクロソフトの稼ぎが今より少なくなることを意味しないだろう。トラックのアナロジーを使えば(他のタイプの自動車が増えても)トラックの数も今より増えるということだ」と述べている。
確かなことは今後色々なハードウエアとOSの組合せが登場し、マイクロソフトの相対的な地位は少しずつ低下するということだ。ユーザにとっては選択肢が増えてありがたい話である一方、メーカーにとっては気の抜けない大競争時代が続くということだろう。